DRAM業界は、生産量をうまくコントロールすることで営業利益率を着実に上げてきた。こうした努力が功を奏し、2013年第2四半期は過去3年間で最高の営業利益率を達成したという。
米国の市場調査会社であるIHS iSuppliによると、DRAM業界は、過去3年間において最も高い営業利益率を達成するという急速な成長を遂げ、黒字基調が鮮明になったという。同社の直近のリポート(2013年4〜6月)によれば、DRAM市場の営業利益率は、2013年第1四半期には11%だったが、同年第2四半期には27%に増加し、2010年以来の最高水準を達成している。
IHS iSuppliによれば、これまでDRAM市場において、PCが圧倒的な売上高シェアを占めてきた。しかし、2012年におけるDRAM市場の売上高に占めるPCのシェアは、過去30年間で初めて50%を下回る結果となった。このような“ポストPC時代”では、モバイル機器をはじめとする多くのデバイスにおいて、1台当たりのDRAM搭載量が減少している。これが、DRAM市場全体の成長を減速させる要因となっている。
IHS iSuppliでメモリ/ストレージ担当シニアアナリストを務めるDee Robinson氏は、EE Timesのインタビューに応じ、以下のように語っている。
「DRAM市場は、売上高および容量の両方において現在も成長し続けている。しかし、モバイル市場をはじめ、DRAMが参入する新しい市場分野では、PC時代と比べてDRAM密度が低く、搭載容量も減少している。このために、DRAM市場の成長が減速する結果となっている。縮小するPC市場を、モバイル市場の成長によって埋め合わせることができているが、過去のような50〜90%もの成長率は到底実現できないだろう。当社の予測では、DRAM市場の成長率は将来的に、20〜30%の範囲内で緩やかに伸びるとみている」
ポストPC時代において、サプライヤが堅調な利益率を維持していくためには、過剰な生産によって平均販売価格(ASP)を下落させないよう、生産量を引き締めなければならない。2011年および2012年には、1四半期の間に平均販売価格が約1/3にまで下落した時期もある。しかしIHS iSuppliによると、現在ではこうした努力の成果が表れ、DRAMの平均販売価格は2013年第1四半期に4%上昇し、同年第2四半期には12%も上昇したという。
Robinson氏は、「大手プレヤー企業であるSamsung ElectronicsとSK Hynix、Micron Technologyの3社によって業界再編が進められた。Micronは、エルピーダメモリの買収を完了している。このためDRAM市場では、生産の調整が可能になり、PCからの移行が進む重要な時期に安定性を実現することができた」と述べている。
平均販売価格が上昇したことにより、各社の営業利益率も増加している。IHS iSuppliによると、営業利益率が最も高かったのはSK Hynixの33%で、続いてエルピーダメモリが32%、Samsungが28%、Inotera Memoriesが27%、Micronが12%だったという。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.