アクセンチュアは、日本のハイテク企業がこれから3年間で、高い競争力を取り戻し、世界市場で勝ち抜いていける事業体質に変革していくための支援プランを発表した。着手して1年以内には改革推進のための原資(キャッシュ)を捻出できるようにする。これによって企業は収益力を回復し、その利益を成長領域へ再投資することで、3年後にはグローバル市場で競争力を高めていくシナリオである。
アクセンチュアは2013年11月13日、日本のハイテク企業がこれから3年間で、高い競争力を取り戻し、世界市場で勝ち抜いていける事業体質に変革していくための支援プラン「デジタル・イノベーション・フレームワーク」を発表した。この支援策では、キャッシュを創出するための改革プランを3カ月で策定し、1年以内には改革を推進していくための原資(キャッシュ)を捻出できるようにする。これによって企業は収益力を回復し、その利益を成長領域へ再投資することで、3年後にはグローバル市場での競争力を高めていくシナリオである。
ハイテク企業と呼ばれる日本の電機メーカーや半導体メーカーは、過去20年間でグローバル市場における競争力を大きく後退させた。そこでアクセンチュアは、グローバル市場で日本のハイテク企業が再び市場競争力を強めることができるような支援プランをまとめて、関連企業に提案する。
アクセンチュアで経営コンサルティング本部戦略グループのマネジングディレクタを務める清水新氏は、「グローバル企業が10年かけて行ってきた変革を、日本企業は3年で実現していかなければ駄目になる。そのためには日本流のやり方が必要である。グローバル企業が行ってきた変革を学びつつ、日本企業の強みも生かす。その上で市場の変革機会を捉えた領域への戦略的な投資を行うことが重要だ」と話す。
ただ、日本企業の強みである技術力や現場力をさらに高めるには、「ベクトルを変えることが必要だ」と述べる。例えば、経営は「高度化」、オペレーションは「単純化」する。そのためには「経験」と「勘」と「データ」を重視し、基準の見直しを行う必要がある、と指摘する。さらに、「ホワイトカラー」と「ブルーカラー」の間に「水色カラー」というワーカーコンセプトの導入を提唱する。ブルーカラーの作業を単純化し稼働率を上げる。水色ワーカーがその稼働率を管理するという仕組みだ。これまで日本の製造現場は「多能工」で効率を高めてきたが「生産を海外シフトする際に、(日本で対応している)多能工の仕組みを海外に展開することができない」(清水氏)からだ。
それでは、日本企業が強みとする技術力をどの分野に活用していけばいいか。その投資対象となる領域についても「デジタル・イノベーション・フレームワーク」として明らかにした。新たに成長が期待できる領域として同社が挙げるのが、自動運転や交通システム、ビルエネルギー管理システムなど、「機能」や「作業」に関する領域である。この領域でデジタル化が進み、自動車や電力、機械などの産業で起こる変革が今後の大きなビジネスチャンスになると予測する。そこに、日本企業が強みとする技術力や現場力を生かすことができるとみている。
アクセンチュアが提唱する事業変革支援プランでは、まず3カ月でハイテク企業の事業改革の全体像をまとめた戦略を策定する。その際、実行計画を「緊急度」や「施策インパクト」、「実行難易度」、「効果創出時期」の4つの視点で分析し、その優先順位を明確にする。その上で、調達コストやアウトソーシングなどのコスト削減に向けた取り組みを行い、キャッシュを生み出していく。それを原資に成長領域へ再投資したり、グローバルな拡大を行ったりできるように、事業の変革を同社が支援していくことになる。
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