インターモレキュラーは、「コンビナトリアル技術」を使って、先端ICチップの製造に用いる新しい材料や構造、製造プロセスの絞り込みを効率よく行える手法「HPC(High Productivity Combinatorial)」を紹介した。新材料を使ったICチップの開発期間短縮と、開発コストの削減を可能とする。
インターモレキュラーは、「SEMICON Japan 2013」(2013年12月4〜6日)で、「コンビナトリアル技術」を使って、先端ICチップに採用する新しい材料や構造、製造プロセスの絞り込みを効率よく行える手法「HPC(High Productivity Combinatorial)」を紹介した。新材料を使ったICチップの開発期間短縮と、開発コストの削減を可能とする。太陽光パネルやLCDパネル、建材用ガラス、2次電池といったICチップ以外の分野にもHPC手法の適用を提案していく考えである。
同社は2004年に設立された米国企業で2011年にはIPO(株式公開)を果たしている。医療分野などで材料探索に用いられている「コンビナトリアル技術」と呼ばれる手法を半導体製造分野に応用し、材料探索やプロセス探索の効率を高めることで、研究開発に要する時間とコストの削減を可能とする。既に同社は、半導体企業では東芝/サンディスク、エルピーダ/マイクロン、TSMC、グローバルファウンドリーズなどと契約を結び、新材料やプロセス技術の共同研究に取り組んでいる。
インターモレキュラーが本社内に用意しているHPCのプラットフォームは、自社開発の「製造装置」、「検査装置」、および測定結果の「分析システム」で構成される。製造装置はさまざまな成膜材料を使い、その成分構成やプロセス条件を変更して、1枚の基板上に成分が異なる複数の成膜や加工を同時に行える。検査装置は形成された膜の特性などを半自動で測定する。分析システムは測定結果をデータベースとして整理し解析するソフトウェアである。
これらを活用することによって、一例だがゲート絶縁膜の材料選定や、次世代メモリに使うための新材料やそのプロセス技術の選定あるいは加工条件の最適化などを効率よく行えるという。半導体メーカーの専用パイロットラインを使って評価用のウエハーを作成した場合に比べて、その効率は10〜100倍も改善することが可能となる。
これまで一般的に行われてきた手法では、検討している新材料や加工プロセスをウエハー1枚で1条件しか設定(加工)できなかった。このため、評価したい材料や条件に応じた枚数分だけウエハーを加工する必要があった。HPC用装置を使えば、ウェット処理を行う場合に、異なる薬液を準備し複数のシリンダに入れて用意しておくことができる。これによって、直径300mmのウエハーでは、1枚当たり最大28通りの条件まで設定して、円形状に成膜やエッチング加工を行うことができる。また、スパッタリングも4種類のターゲットを用意し、1枚の基板上で成分が異なる膜を作り分けることが可能になる。
同社は、ICチップ以外の分野に対しても、HPC手法を使った新材料およびプロセス技術の共同研究/開発を提案していく。既に太陽光パネルやLCDパネル、建材用ガラスなどの分野で、顧客との共同開発に取り組んでいる。これら新しい分野で日本企業へのアプローチを強化していく。加えて、成膜プロセスに用いる化学薬品や製造装置などを手掛けるメーカーとも協力関係を強めていく方針だ。
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