モバイル市場の拡大を受け、TSMCの業績が堅調に伸びている。2013年第4四半期の売上高は1458億ニュー台湾ドルで、前年同期比で10%増加した。ただし、2014年第1四半期については楽観視はしていないという。
TSMCは、2013年12月31日を末日とする第4四半期の決算を発表した。売上高は1458億1000万ニュー台湾ドル、純利益は448億1000万ニュー台湾ドル。売上高は、前年同期比で10.9%増加し、堅調な成長を遂げた。また、純利益は同7.7%増、希薄化後の1株当たり利益も同じく7.7%増となっている。
大手ファウンドリである同社は、2013年第4四半期の成長要因として、モバイル機器市場の需要が同年後半に加速したことの他、利益率が高まったことなどを挙げる。同社によると、粗利益率は44.5%、営業利益は32.8%、純利益は30.7%だったという。
それでもTSMCは、次四半期の業績については楽観視していないという。
同社のシニアバイスプレジデント兼CFO(最高財務責任者)であるLora Ho氏は、発表資料の中で、「当社の2014年第1四半期における売上高は、前四半期比で約6%減少するとみている。その要因としては、半導体メーカーからの季節的な需要が伸び悩み、ファブレス企業が引き続き在庫を削減する見込みであることなどが挙げられる」と述べている。
2013年第4四半期におけるモバイル機器市場の需要は、増加の一途にあった。しかしそのために、他の市場では何が起こっているのか、状況が分かりづらくなったようだ。
Ho氏は、決算発表の会場において、「PCや民生機器、産業機器などの市場に向けた需要は、2桁減少する結果となった。IT業界のサプライチェーンにおいて在庫調整が行われたことにより、当社のウエハー需要にも影響が及んだためだ。その結果、当社の事業分野の中で唯一成長を遂げられたのは、通信部門だけだった。同部門の売上高シェアは、2013年第3四半期には全体の49%だったが、同年第4四半期には54%にまで増加している」と述べている。
PC売上高の低迷により、多くの半導体メーカーに影響が及んでいる。例えば、Intelは2014年1月16日、米国アリゾナ州の同社工場「Fab 42」の稼働を延期すると発表している。Fab 42は当初、最先端の14nmプロセス技術による生産を行う予定だとされていた。
Ho氏によれば、TSMCの売上高をプロセス技術別で見ると、28nmプロセス技術に対する需要が最も高いことが分かる。28nmプロセス技術を適用した半導体チップの売上高は、2013年第3四半期には全体の13%だったが、同年第4四半期には22%に増加したという。
TSMCのチェアマン兼CEO(最高経営責任者)を務めるMorris Chang氏は、決算発表の中で、「2013年通年の28nmプロセスチップ生産量は、2012年通年の3倍に達する」と述べた。
またChang氏によれば、TSMCは4種類のhigh-k技術を保有している。そのうち3つは高誘電率膜/金属ゲート(HKMG:High-k/Metal Gate)で、1つは同社が最初に導入した酸窒化物ゲートだ。同氏によると、2013年に使われたhigh-k技術の大半が、酸窒化物ゲートだったという。ただし、2014年第3四半期には、HKMGが酸窒化物ゲートを上回るとしている。
TSMCの2014年における設備投資額は、95億〜100億米ドルになる見込みだ。
Chang氏は、「設備投資のうち88%は、28/20/16nmプロセスの製造施設に使われる予定だ」と述べている。残りの12%のうち5%は、10nmプロセス以降の技術開発に向ける。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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