2012年に行われた裁判では、陪審員団がAppleに対して10億米ドルの損害賠償請求(後に約9億3000万米ドルに減額)を認める判決を下している(関連記事:SamsungのAppleへの賠償金が、大幅減額に?)。
今回の裁判は、それとは全く別の新しい裁判となる。Appleが求める損害賠償は、今回の20億米ドルと合わせると、最終的に約30億米ドルというかなりの高額になる。
Appleに対して、一部では「高性能なモバイル機器を発明したメーカーというよりも、賠償金目当ての単なる訴訟好きな企業だ」という声も聞かれ、Appleへの評価は下がってきているようだ。Appleは現在でも、iPhoneやiPadだけでなく、特に「iTMS」(iTunes Music Store)や「App Store」などによって巨額の利益を得ている。しかし、もしAppleが訴訟に時間を費やす代わりに製品開発にもっと力を入れていたとしたら、どれほど素晴らしい製品を開発することができただろうか。
Appleは、2011年4月に最初の訴訟を起こして以来、iPhoneやiPadの基本的なデザインをほとんど変えていない。もちろん、iPhoneのディスプレイを3.5インチから4インチに大型化したり、カメラやプロセッサの性能を高めた他、指紋センサーを搭載するなどの改良は行われているが、2010年に発表したiPadのように、人々を熱狂させるような新製品は投入できていない。
一方、Samsungはその間に、独自に改良を施したGalaxy S III/S4/S5を発表している他、NoteとNote 2、Note 3などのファブレットも発表するなど、全く新しいカテゴリの製品を生み出しながら利益を上げている。さらに、ウェアラブル機器を4種類投入した他、タブレット端末では、極めて安価な機種から最上位機種に至るまで製品ラインアップを拡充している。同社は、多種多様な製品を生み出すことで、販売数量を大きく伸ばすことに成功した。
一方のAppleは、大型のiPhoneやスマートウオッチ「iWatch」を投入するのではないかと何年も前からうわさされてきたが、今のところ、それらに関する発表はない。
AppleはSamsungに対し、特許侵害の対象となる製品1台当たり40米ドルを支払うことを要求していることになるが、実にばかげた話ではないだろうか。それならば、訴訟を起こすのではなく、いっそ自社の幅広い特許ポートフォリオをライセンス供与すればよい。Appleがこうした方法を選択しない限り、法廷だけでなく世界中の販売店において、今後何年間もSamsungとの争いが続くことになるだろう。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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