Googleが無人航空機(ドローン)メーカーのTitan Aerospaceを買収した。TitanはFacebookが買収交渉をしていると報じられたメーカーでもある。新たなプラットフォームとして、ドローンへの関心が高まっている。
新たなプラットフォームとして、無人航空機(ドローン)に注目が集まっている。
最近の大きな動きでいえば、Googleが、ニューメキシコ州モリアーティー(Moriarty)に拠点を置く無人航空機開発メーカーであるTitan Aerospaceを買収したと発表した。買収金額については明かしていない。
IT関連のニュースサイトである米国TechCrunchによると、Titan Aerospaceに関しては、Facebookが2014年3月に、6000万米ドルで買収する方向で交渉を進めていると報じられていた。しかし、Facebookはその後すぐに、太陽光電池パネルによって駆動する無人機の開発メーカーである英国Ascentaを買収している。Wall Street Journalによると、Googleは、Facebookの6000万米ドルを超える買収金額を提示したという。
Googleの広報担当者は発表資料の中で、「Titan AerospaceとGoogleは、世界を変える技術を実現できることを確信している。取り組みはまだ始まったばかりだが、大気圏衛星(Atmospheric Satellite)を実現すれば、何百万もの人々がインターネットにアクセスできるようになる。これにより、災救援活動や、森林破壊による環境被害など、さまざまな問題を解決することが可能になるだろう。Titan AerospaceをGoogleグループの一員として迎えられることができ、うれしく思っている」と述べている。
Titan Aerospaceの最高経営責任者(CEO)であるVern Raburn氏は、かつてSymantecのCEOを務めていた他、Microsoftの消費者製品部門担当バイスプレジデントや、Paul Allen Groupのプレジデントなどを務めた経歴を持つ。また、Titan Aerospaceの直前には、米国の航空機メーカーであるEclipse AviationのCEOを務めていたという。
GoogleはFacebookと同様に、新たなプラットフォームとして、無人航空機の分野に期待をかけている。Googleは、遠隔地域にインターネット接続を提供するための手段として、太陽光発電で駆動する無人飛行機を利用したいと考えているようだ。これにより、潜在的なユーザーにネットワークサービスを提供できるようになるとしている。FacebookとGoogleはいずれも、既に相当な数に上るユーザーを抱えているが、それをさらに拡大することが年々困難になっているという問題に直面している。
無人航空機は、インターネット接続を利用可能な地域を拡大できるだけでなく、産業用監視システムや科学研究、地図作製、通信、災害援助など、さまざまな分野でチャンスを生み出すことができると期待されている。
Googleは2013年に、気球を利用したインターネット接続環境構築プロジェクト「Project Loon」を始動させている。気球に無線ルータを搭載して飛ばし、インターネットがまだ普及していない地域にサービスを提供するという取り組みだ。同社は2014年4月初めに、この中の1つの気球が、22日間で地球を1周したことを発表している。
Wall Street Journalによると、Googleは今後、Titan Aerospaceの他にも、以前に買収した、飛行風力タービンの開発を手掛けるMakani Powerと協業することにより、Project Loonを推進していく考えだという。
無人飛行機の分野は、将来的に有望であり、規制障壁も比較的低いことから、さまざまな企業から大きな関心を集めている。米連邦航空局(FAA:Federal Aviation Administration)は以前に、小型の商用無人飛行機に関する法的規制を策定したが、この規制は2014年3月に連邦行政法判事によって無効とされている。このため現在、小型無人飛行機を手掛けるメーカーにとっては、規制が比較的緩い状況となっている。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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