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ルネサスとADIの“協働”による本格的な心拍計を短期開発できるソリューションを公開Renesas DevCon JAPAN2014 リポート

ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)とアナログ・デバイセズ(ADI)の両社は2014年9月2日にルネサスが東京都内で開催したプライベートイベント「Renesas DevCon JAPAN2014」でバッテリー駆動型心拍計の開発支援ソリューションを公開した。

» 2014年09月12日 10時00分 公開
[竹本達哉EE Times Japan]

 ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)とアナログ・デバイセズ(ADI)の両社は2014年9月2日にルネサスが東京都内で開催したプライベートイベント「Renesas DevCon JAPAN2014」でバッテリー駆動型心拍計の開発支援ソリューションを公開した。同ソリューションは、両社が共同で運営するエンジニア支援サイト「Solution-Edge(ソリューションエッジ)」での支援メニューの1つとして開発したもの。

 Solution-Edgeは、マイコンをはじめとしたルネサス製品とアナログ半導体を中心としたアナログ・デバイセズ製品を組み合わせた機器の開発をサポートするための情報や開発ソリューションの提供を行っている。2013年には、Solution-Edgeの活動の延長として、両社の評価ボードを簡単に接続するインターポーザボード「SE SP-01」を開発し、2014年から一般販売を開始している。

 今回、Renesas DevCon JAPAN2014で公開したバッテリー駆動型心拍計の開発支援ソリューションもこのインタポーザボードを応用して開発したものだ。

ッテリー駆動型心拍計の開発支援ソリューションの構成イメージ (クリックで拡大) 出典:ルネサス エレクトロニクス/アナログ・デバイセズ

 同ソリューションは、アナログ・デバイセズが医療機関向けの心拍計にも提供しているアナログフロントエンド(AFE)IC「AD8232」の評価ボード(AD8232-EVALZ)と、同じくアナログ・デバイセズのA-Dコンバータ「AD7091R」などで構成する評価ボード「EVAL-CN0335-PMDZ」で、電極式の心拍センサーからのアナログ信号を処理、デジタル化する。デジタル化した信号は、ルネサス製マイコン「RL78」で処理するのだが、EVAL-CN0335-PMDZとRL78評価ボード(Renesas Starter KitsないしGR-SAKURA)をつなぐ方法として、インターポーザボードのSE SP-01を使った点がこのソリューションの肝だ。SE SP-01がなければ、評価ボード間をジャンパー線などで接続する必要があるが、SE SP-01により短時間でハードウェアを構成できるのだ。またジャンパー線で接続した場合、ノイズの影響を受けやすく正確な評価が行えないが、SE SP-01であればノイズの影響をほとんど受けずに済む点もメリットだ。

医療機器向け高性能デバイスで簡単に心拍計

 短時間でハードウェアを組み上げられる心拍計ソリューションだが、その性能は本格的だ。AFE ICは、医療機器に使われる本格的なものである上、EVAL-CN0335-PMDZにはトランス応用型絶縁技術「iCoupler」「isoPower」で信号と電力を絶縁しながら転送できるアイソレータ「ADuM5401」が実装されており、人体を過電圧、過電流から保護する安全設計となっている。

 また、UART信号をBluetooth用信号に変換し、無線送信するオプション基板を使うことで、スマートフォンなどにデータを伝送、表示する機能も実現できる。展示説明員によれば、「RL78をはじめ各デバイスの消費電力は低く、乾電池程度の電源で動作する携帯型の電極式心拍計も実現できるハードウェア構成だ」という。

「Renesas DevCon JAPAN2014」で公開したデモの様子(左)とハードウェアの拡大写真。デモでは大容量バッテリを使用したが乾電池でも動作可能だという。 (クリックで拡大)

 家庭などで使用される心拍計は、血管の動きをLEDなどの光を使って検知し心拍数を推定する光学式が主流だ。一方で、高い精度を求める医療機関などでは心臓を挟んだ2つ以上の電極で心拍を図る電極式が主流だ。

 「電極式は、設計が難しく医療機器以外では実現が難しかったが、評価ボードをつなぎ合わせるだけで実現できる今回の心拍計ソリューションの登場で、家庭用や電池駆動式のモバイル心拍計などでも本格的な電極式の心拍計を実現しやすくなるだろう」(説明員)という。

デモ用ソフトなども公開へ

 両社では、SE SP-01の提供だけでなく、今回の心拍計ソリューションデモで用いたソフトウェアや各種技術情報などをSolution-Edgeで公開する予定である他、「技術サポートなども提供していく」(Solution-Edge運営担当者)としている。

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