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クリーンデバイス社会実装推進事業、NEDOが新たに6テーマ追加省エネディスプレイ、熱発電デバイスなど

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、省エネルギー効果が期待できる最新デバイス(クリーンデバイス)の用途拡大に向けた実証事業として、新たに「ディスプレイ/サイネージ」、「自動車/プラント」など6テーマを追加した。

» 2015年07月01日 13時30分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2015年6月、省エネルギー効果が期待できる最新デバイス(クリーンデバイス)の用途拡大に向けた実証事業として、新たに「ディスプレイ/サイネージ」、「自動車/プラント」など6テーマを追加したと発表した。省エネルギー効果の最大化を目指す。

 NEDOは、高周波半導体や不揮発性メモリ、光エレクトロニクス技術、パワーデバイスなどクリーンデバイスと呼ぶ、省エネ効果が期待できるデバイスを活用して、新たな製品やサービスの創出、市場拡大を狙いとする、クリーンデバイス社会実装推進事業を2014年度より開始。すでに5テーマの実証事業を行っている。

 今回は新たに6つの応用事例を掲げて、その実装・実証及び、信頼性や安全性、標準化・共通化などに関する方針策定を行うこととなった。クリーンデバイス社会実装推進事業に対する2015年度の事業規模は約20億円となる。新たな6つのテーマについては2015〜2016年度の2年間で実施していく予定。

クリーンデバイス社会実装推進事業のイメージ図 (クリックで拡大) 出典:NEDO

 今回は新たに6つのテーマが採択され、事業として追加された。その1つは、「デザイン多用途型省エネディスプレイ」(委託予定先:シャープ、産業技術総合研究所)である。透明性など現行のディスプレイ装置にはない特長を持ったディスプレイパネルを用い、案内表示や広告、商業施設におけるショーウィンドウのサイネージなどで、社会適用性を検証する。

 2つ目のテーマは、「電気光学結晶KTNを用いた革新的光デバイスを活用し、レーザー産業分野における幅広い領域で新規市場を創出」(委託予定先:NTTアドバンステクノロジ、埼玉大学、大阪大学)。電気光学結晶を用いた光デバイスは、従来デバイスに比べて100倍高速で、1/100の小型化、省電力化が可能だという。生物用多光子吸収レーザー顕微鏡や医療用診断装置である光干渉断層計などへ適用し、その実用性を実証していく。

 3つ目のテーマは、「熱発電デバイスによる中温度域独立給電型センシングモジュールの用途開拓」(委託予定先:昭和電線ケーブルシステム、東京理科大学、三五、巴商会、三菱電機)。これまでにない高効率・耐環境負荷を実現した、中温度域源(300〜600℃)の「熱電池デバイス」をコアとする独立給電型センシングモジュールを実装し、エンジン及びボイラーの高効率制御に必要となる稼働パラメータのモニタリングシステムについて実証を行う計画だ。

 4つ目のテーマは、「クリーンビーコンを用いたヒューマンナビゲーション社会実装実証事業」(委託予定先:リアライズ・モバイル・コミュニケーションズ、日立製作所、サイバー創研)。メンテナンスフリーのBluetooth Low Energyビーコンを用いて、スマートフォンなどを活用した多言語観光サービス、災害時避難誘導支援、商業施設館内誘導といったサービスの有効性を実証していく。

 5つ目のテーマは、「次世代半導体を用いた超小型電力変換モジュールの多用途社会実装」(委託予定先:ニチコン、大阪大学)。次世代半導体であるSiC(炭化ケイ素)デバイスを用いた超小型電力変換モジュールを、小型・高効率の医療用加速器電源に搭載して実証実験を行い、その妥当性を検証する。

 6つ目のテーマは、「省エネ社会を支えるユビキタス給電インフラを実現する窒化物半導体小型電源モジュール」(委託予定先:NTT、新電元工業、東京大学)。高電圧直流給電装置内の電源ユニットを構成する電源モジュールに、GaN(窒化ガリウム)オンシリコンのパワートランジスタを実装し、小型化による省エネ・省資源効果を実証する予定である。

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