PragmatIC Printingは、印刷技術を用いて、柔軟性を持つ素材上にロジック回路を構築する技術の開発に取り組んでいるプリンテッドエレクトロニクス企業である。同社は2012年11月、その技術を適用した製品用のパイロット製造ラインの稼働を開始したと発表した。2013年には、年間1000万個以上の製品を製造可能だという。
プリンテッドエレクトロニクス(印刷エレクトロニクス)技術の開発を手掛ける英PragmatIC Printingは2012年11月、英政府が支援する研究開発機関であるCentre for Process Innovation(CPI)において、パイロット製造ラインの稼働を開始したと発表した。
以前、PragmatICは、グリーティングカードの開発/販売を手掛ける米Hallmarkの子会社Tigerprintと、紙幣の製造を請け負う英De La Rueとの協業により、セキュリティラベルに関する共同プロジェクトを実施することを発表していた(関連記事)。このプロジェクトは、プリンテッドエレクトロニクスによってロジック回路を実現する技術に関するものである。現在では、パイロット製造ラインで製品を製造する段階まで進んでおり、2013年初頭には正式に製品を発表できる見込みだという。
一般に、プリンテッドエレクトロニクスで実現した集積回路は、シリコンベースの集積回路と比べて寸法や性能が大きく劣るとされている。ただし、製造コストについては大幅な削減が可能である。
PragmatICは、プラスチック基板上の有機半導体材料をインプリントリソグラフィ技術を使用して形成する技術を有している。同社によれば、ミクロン/サブミクロンレベルの大きさで、柔軟性を持つ透明の半導体回路を実現できるという。
現在、PragmatICは英レッドカーに設置されたパイロット製造ラインで、柔軟性を備えたロジック回路製品を月に1万個以上製造している。2013年には、年間製造量を1000万個以上に拡大できる見込みだという。
なお、PragmatICのパイロット製造ラインは、製品の量産だけでなく、デバイスの設計/プロセスの最適化/回路機能の最適化に関するテストにも対応できるという。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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