調査会社のNPD DisplaySearchは、「Appleは2013年のiPad出荷台数として1億台を目標にしている。その内訳は、iPad miniが5000万台、第3世代iPadが4000万台、iPad 2が1000万台だ」との予測を示した。この予測が現実のものとなるか否かは、Appleに液晶パネルを供給するパネルメーカーにかかっているようだ。
Appleの「iPad」は引き続きタブレット市場を席巻している。あるアナリストは、同社が2013年に1億台のiPadを出荷するとの予測を示している。
市場調査会社のNPD DisplaySearchでバイスプレジデントを務めるDavid Hsieh氏はブログの中で、「Appleは、『iPad mini』に対する強い需要に応えるために、iPadの生産数を調整するとみられている。当社は、Appleが2013年のiPad出荷台数として1億台を目標にしていると確信している。その内訳は、iPad miniが5000万台、iPadの第3世代機(以下、第3世代iPad)が4000万台、そして少なくとも2013年半ばまで生産が続く『iPad 2』が1000万台だとみている」と述べた。
iPad miniは日本で「2012年の最もホットな家電」の1つに選ばれた。しかし、すぐに台湾のAUOと韓国のLG DisplayのXGA液晶パネル(7.85インチ)が供給不足に陥るという事態に見舞われた。「Appleは2012年に600万台のiPad miniを販売する計画だった。だが、2012年第3四半期にパネルメーカーが供給できた液晶パネルの数はわずか160万枚だった」とHsieh氏は述べている。
Hsieh氏によると、「Appleはパネルメーカーに対し、大きな需要に対応するために、2012年第4四半期には1200万枚以上の液晶パネルを供給するよう求めた」という。
iPad用の液晶パネルには、高解像度かつ低消費電力で動作することが求められる。それに加えて、広い視野角や高い彩度といった仕様も満足しなければならない。こうした要求を満足するためには、液晶パネルの製造過程においてマスクを使用する8つの工程が必要になる。つまり、生産時間はより長くなるし、歩留まりも低下するということである。iPad向け液晶パネルの供給不足にはこのような背景がある。
NPD DisplaySearchは、「すべてを左右するのはパネルメーカーの生産能力だ」と指摘している。Samsung ElectronicsやLG Display、シャープ、そして台湾Chimei Innoluxなどのパネルメーカーは、2012年に9.7インチのiPad用液晶パネルを7000万枚供給する見込みだ。そのうち2300万枚はiPad 2用のXGAパネルで、残る4700万枚は第3世代iPad用のQXGAパネルである。これらのパネルには、アモルファスシリコン(a-Si)TFTと酸化物TFTの両方が用いられている。
当初の計画では、第3世代iPadはiPad 2の代替品になるはずだった。しかし、iPad 2の販売が引き続き好調であることから、Appleは2013年に、iPadに対する大きな需要に見合うよう製品ポートフォリオを調整する見込みだという。これを受けて、パネルメーカー各社は、iPad 2用液晶パネルの生産を維持したまま、第3世代iPad用液晶パネルの生産を下方修正することになるだろう。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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