米国で開催中の「2013 International CES」において、力強い展望を明示したIntel。だが、PC市場の低迷やタブレット端末の普及などにより、Intelの先行きは、同社が思っているほど明るくはないとする見方もあるようだ。
Intelは、米国ネバダ州ラスベガスで開催中の「2013 International CES」(2013年1月8〜11日)において、同社が今後、タブレットやスマートフォン市場において堅調に成長していくとの予測を発表した。しかしアナリストの中には、x86市場の巨人であるIntelが今後、低迷していくと予測する者もいる。
その一方で、タッチスクリーン向けの製品を手掛けるAtmelに関しては、ノートPC市場においてタッチスクリーンの採用が増加していることから、今後大きく躍進すると予測されている。
IntelはCESにおいて、同社のAtomベースのSoC(System on Chip)「Medfield」が、新型スマートフォンで複数のデザインウィンを獲得したと発表した。その一例として、200米ドルを下回るZTEのスマートフォンを挙げている。またIntelは、低消費電力のノートPC「Ultrabook」に向けて、7Wの消費電力を実現した「Ivy Bridge」プロセッサの出荷を予定していることを明らかにした。2013年末までを目途に出荷を開始し、同プロセッサを搭載したUltrabookの販売価格を599米ドルに下げる予定だという。さらに、モバイルシステムに向けた1.2GHz動作の「Atom Z2420」についても詳細を明かし、価格は20米ドルを下回る見込みだとしている。
米国の投資会社であるCanaccord Genuityで金融アナリストを務めるBobby Burleson氏は、2013年1月9日に発表したリポートの中で、「IntelはCESにおいて、前向きな展望を明示した。しかし今後、PC需要の低迷が続き、タブレット端末が飛躍的にシェアを拡大するとみられることから、同社の展望通りになることは難しいだろう」と述べている。
さらに同氏は、「Intelが会場で展示している、『Core』プロセッサを搭載したタブレット端末は、厚みのあるものだった。これに適したニッチ市場を見つけるのは難しいだろう。新型Ultrabookのほとんどがタッチスクリーンに対応している上、その多くが、ディスプレイを裏返したりスライドさせたりすればタブレットPCとしても使用できるコンバーチブル型となっている。高価なCoreを搭載した、電池寿命が短いタブレット端末を選ぶ消費者はいないだろう」と付け加えた。
ただし、米国のウォール街のアナリストによると、Intelの株は保持すべきだという。同アナリストは、Intelの売上高について、「2012年第4四半期の売上高は136億米ドルになるだろう。また、2012年に534億6400万米ドル、2013年に548億6000万米ドルに達する」と予測しているからだ。
Canaccord GenuityのBurleson氏は、「Intelは、売上高全体の約90%をPC市場から得ている。このため、PC市場において出荷数量が伸び悩むと、同社の売上高や収益性に影響が及ぶことになる。さらに、Intelの自社工場における生産量が減少すれば、粗利益率も低下し、プロセッサ市場やチップセット市場において、強力な競合企業との価格競争が激化する恐れがある」と付け加えた。
一方、Atmelは、ノートPC市場において、同社のタッチスクリーン向けコントローラが普及することにより、著しい成長を遂げるとみられている。Burleson氏は、「Atmelは、タッチスクリーン対応Ultrabookに向けたコントローラ市場において、60%のシェアを握っている。このため、第4世代Ultrabookでタッチスクリーンの搭載が必須条件となったことは、同社にとって追い風となる。CESでのIntelブースを見ても、タッチスクリーンの対応は、ほぼ当たり前になっていることが分かる。Atmelは今後、飛躍的な成長を遂げると思われる」と述べている。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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