これまで、田中課長は、若手エンジニアの育成について、さほど気にかけてはいませんでした。特に意識しなくとも“なるようになってきた”し、課長がいちいち登場しなくとも、先輩社員に任せておけば問題がなかったのです。
田中課長は佐々木さんの質問に答える前に、今回の佐々木さんの育成を通じて気づいたことや、会社として見直さなければならないことを、率直に話し始めました。
■OJTそのものの解釈ミス、会社・組織としての不備
■コミュニケーションが取れない、“職場全体で若手を育てる”風土がない
■上司、先輩が身に付けていることを伝授したかった
■開発部門の管理職として感じたこと
■育成に関してこだわったこと
まぁ、僕自身もいろいろと学んだし、マーケティング部の松田課長からのアドバイスもたくさんあったけどね。
そうだったんですね。
もともと佐々木君は、うちの製品が大好きで入社したって言ってたよね?
はい、そうです。
それを聞いた時は、僕は正直、嬉しかったよ。だからこそ、モノづくりの魂を学んで、これぞ当社の製品、自分が設計した製品なんだと、自信と誇りを持ってもらいたかったんだ。
自分はまだまだ技術そのものが未熟ですし、技術を会得することだけで精いっぱいなので、マーケティングが開発にどう影響するかは、まだぼんやりとしか分かりません。
若い頃の経験で無駄になるものなんて、ないんだよ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.