海外出張に行くあなたは、「たった一人の軍隊」である：「英語に愛されないエンジニア」のための新行動論（14）（6/6 ページ）

[江端智一，EE Times Japan]

（付録1）入国審査官対応レジュメサンプル

Mr/Ms. Judge of the Great Britain immigration office. （←入国する国名に変えて）
I have to apologize to you that I am not good at using English.
I asked my colleague to write this support letter that may include what you would like to know about me. I hope this letter will be helpful.

1. Name：Tomoichi Ebata

2. Age：47 years old

3. Nationality：Japan

4. Address：Kamigyo-ku Kyoto Gosho Kyoto city

5. Passport Number：TK0123456

6. Purpose of the trip：Meeting at ABC Company limited as a system engineer about the local transportation signaling system in London in order to resolve chronic traffic jam（文章としての体裁はどうでもよく、必要な単語が出そろっていれば足る。すでに公開済みで秘密になっていない図面であれば、添付してもよい）

7. Period of the trip：3 days

8. Stay of the trip：Feb. 21st -24th Hotel London ([phone])

9. Others：If you have any question about me, please call the following number, my boss “Ichiro Yamada” will take your call.
[phone]（大丈夫です。審査官は電話なんかしません（面倒だから）。）

10. My signature（以下に手書きのサインを入れる）

Thank you for your kindness.

参考文献「サンフランシスコ国際空港（SFO）の越え方」

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Profile

江端智一（えばた ともいち）　@Tomoichi_Ebata

　日本の大手総合電機メーカーの主任研究員。1991年に入社。「サンマとサバ」を2種類のセンサーだけで判別するという電子レンジの食品自動判別アルゴリズムの発明を皮切りに、エンジン制御からネットワーク監視、無線ネットワーク、屋内GPS、鉄道システムまで幅広い分野の研究開発に携わる。

　意外な視点から繰り出される特許発明には定評が高く、特許権に関して強いこだわりを持つ。特に熾烈（しれつ）を極めた海外特許庁との戦いにおいて、審査官を交代させるまで戦い抜いて特許査定を奪取した話は、今なお伝説として「本人」が語り継いでいる。共同研究のために赴任した米国での2年間の生活では、会話の1割の単語だけを拾って残りの9割を推測し、相手の言っている内容を理解しないで会話を強行するという希少な能力を獲得し、凱旋帰国。

　私生活においては、辛辣（しんらつ）な切り口で語られるエッセイをWebサイト「江端さんのホームページ」で発表し続け、カルト的なファンから圧倒的な支持を得ている。また週末には、LANを敷設するために自宅の庭に穴を掘り、侵入検知センサーを設置し、24時間体制のホームセキュリティシステムを構築することを趣味としている。このシステムは現在も拡張を続けており、その完成形態は「本人」も知らない。

本連載の内容は、個人の意見および見解であり、所属する組織を代表したものではありません。