課題が多い450mmウエハーであるが、半導体業界が450mmウエハーへの移行に注力しているのは確かである。欧州において、450mmウエハーの導入を目指す新たなプロジェクトが発足し、IntelやASML、Applied Materials Israelなどが参加する。
3年を期限とする共同研究プロジェクト「Enable450」が発足した。このプロジェクトは、欧州における450mmウエハーへの移行に伴う、装置や材料の開発方向性の取りまとめを目的としている。
このプロジェクトでは、規格の策定に取り組むほか、ベルギーのルーベン(Leuven)に450mmウエハーの試作ラインを建設する大規模なプロジェクト「ENIAC EEM450PR」をサポートする。
プロジェクトに参加するのは、Intel Performance Learning Solutionsのほか、主要な半導体装置メーカーのASML、ASM International、Applied Materials Israel、Recif Technologiesなどである。さらに、ウエハーのサプライヤであるSoitec、欧州の代表的な研究機関であるIMEC、LETI、フラウンホーファー研究機構(Fraunhofer)も参加する。さらに、半導体の業界団体であるSEMIの欧州支部や、コンサルタント会社のFuture Horizonsも加わる。
Enable450の予算は124万ユーロ(約160万米ドル)で、そのうち99万8850ユーロ(約130万米ドル)は欧州委員会が負担する。
3年のプロジェクトにしては予算が比較的少ないのは、Enable450の活動が、研究開発よりも“取りまとめとサポート”に向けられているためだ。特に、米国ニューヨーク州アルバニーに拠点を置くコンソーシアム「Global 450 Consortium(G450C)」との連携を深めることを目指す。G450Cは、IBM、Intel、GLOBALFOUNDRIES、Samsung Electronics、TSMCという主要な半導体企業で構成され、450mmウエハーの導入の促進を目的としている。
Enable450は、2010年4月から2013年3月にかけて3年にわたり実施されたプロジェクト「ENIAC EEMI450」と連動している。ENIAC EEMI450の総予算は1830万ユーロ(約2350万米ドル)で、Intelはこのプロジェクトにも参加していた。
Enable450は、450mmウエハーの試作ライン建設を目的とするENIAC EEM450PRとも連動している。試作ラインは、2012年2月に着工済みだ。ENIAC EEM450PRは研究開発に焦点を当てており、Intelが、チップメーカーとしては唯一の企業として参加している。同プロジェクトの参加企業は、Intelを含めて27社に上る。予算は8400万ユーロ(1億800万米ドル)で、そのうち1400万ユーロ(1800万米ドル)を欧州委員会が提供する。
プロジェクトの主な目的は、450mmウエハーに対応する製造ラインを欧州に構築することと、10nm以降のプロセス技術の開発に向けた可能性を探ることである。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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