同社がアーキテクチャにこだわる背景には、FPGAの微細プロセス導入による高速化、高集積化が進展する中で、デバイス内部の接続性などアーキテクチャに関わる部分が性能向上のボトルネックとなっていることがある。「ロジック素子の集積度は、微細プロセス技術により、指数関数的に急増している。しかし、内部接続速度の進化は直線的であり、そのギャップは開くばかりだ。UltraScaleは、内部接続速度も集積度同様の伸長を実現するもの。最先端のASICのクロック手法を用い内部接続速度の問題を解消するなど、UltraScaleは『ASICクラスプログラマブルアーキテクチャ』と位置付けている」(ローガン氏)という。
UltraScaleでは、ASICに多く用いられるクロック源をダイに分散して配置する手法を導入。これにより、クロックスキューと呼ばれるクロックのズレなどの問題を解消し、クロックを高速化できるという。また、DSPやパケットプロセッシングを高速化させる技術も複数導入する。DSPでは、乗算桁数を多くし単精度/倍精度浮動小数点演算を可能にした。また高速メモリカスケーディング技術により「DSPとパケットプロセッシングのボトルネックを解消する」(同社)という。10G/100GイーサネットやPCI ExpressなどをハードIP化しI/O機能なども強化する。
消費電力低減に向けても、1.2V動作DDR4メモリへの対応などを進めるといったハードウェア的な工夫を多数盛り込む他、開発環境「VIVADO」の消費電力最適化設計機能を強化するなど総合的な改良を進めている。
採用する20nmプロセスは、28nm世代に引き続き、TSMCのプロセス技術(TSMC 20SoC)を採用した。
同プロセス導入に伴い、28nm世代に比べ最大35%の静的消費電力を削減できるという。ローガン氏は、「20nmプロセス、UltraScaleの適用により、実現可能なシステムレベル性能を従来比1.5倍から2倍まで高められる」としている。
ザイリンクスでは、20nmプロセスとUltraScaleを導入した製品として、ハイエンド製品ファミリ「Virtex UltraScale」とミドルエンド製品ファミリ「Kintex UltraScale」の2ファミリを投入する方針。その後、CPU搭載型の「Zynq UltraScale」の投入も計画している。ただ、ローエンド製品ファミリ「Artix」へのUltraScale適用については「今日現在はコメントできない」(同社)とし、明らかにしていない。
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