産業総合研究所(産総研)は、光計測器をスマートフォンで操作し、病原体を検出するシステムのデモンストレーションを行った。操作をスマートフォンのみで行うことにより、光計測器を小型化できたという。
産業総合研究所は「InterOpt 2013」(2013年10月16〜18日、パシフィコ横浜)で、小型の光計測器とスマートフォンを用いて病原体を検出するデモを披露した。
検出する仕組みは、特定の病原体を吸着する抗体を塗った「バイオチップ」を光計測器に挿入し、白色LEDの光を当てて波長スペクトルの変動(シフト量)を解析するというもの。この光計測器を、スマートフォンから操作できることが特徴だ。スマートフォンには専用のアプリをダウンロードする必要があり、光計測器とBluetooth Low Energyで接続する。
産業総合研究所によれば、「今回開発した光計測器の主な構成要素は、LED光源、検出回路、無線通信用のチップのみだ。スマートフォンと連携せずに、単体で動くようにしてほしいという要望はあったが、そうすると制御系の回路基板が増えて、これほどの小型な光計測器を実現することは難しくなってしまう」という。
「光計測器が今回の開発品くらい小型化すれば、もっと気軽に持ち運んだり、どこにでも置いたりできるようになり、より手軽に素早く感染症などの検査ができるようになる」(産業総合研究所)。
バイオチップの表面に塗られた抗体は、水分に触れると泡のように膨らんではじける。その結果、フジツボのような構造になり、表面積が増えて病原体をより多く吸着し、検出感度が向上する。インフルエンザであれば、一般的な検査方法(イムノクロマトグラフィー法)に比べて、約1000倍の感度を実現したという。
産業総合研究所は、「検出できる病原体を増やすには、その病原体に特有のスペクトル変動のライブラリを増やしていけばいい。スマートフォンのアプリをアップデートすれば、ライブラリの更新を簡単に反映できる」と述べている。
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