EETJ FPGAアーキテクチャとの連携とはどのようなものですか。
デイビッドソン氏 CPU分野ではかなり前から、CPUと電源部が協調したAdaptive Voltage Scaling(動的電圧制御/以下、AVS)が消費電力低減技術として導入されている。しかし、(電源ICが特定されない)FPGAでは、実現されてこなかった。今回、FPGA設計と連携し、AVSを実現するよう技術開発を進めている。2014年に出荷するGeneration 10(Stratix 10、Arria 10など)にはAVSを実装する。それ以外にもFPGAアーキテクチャ部分を含めたさまざまなパワー技術の開発を実施していく。
EETJ 全てのアルテラ製FPGAに対応する電源ICを提供するには、エンピリオンとして製品ラインアップをさらに拡充する必要があります。
デイビッドソン氏 特に大電流対応品が少なく、現在、拡充を急いでいるところだ。2014年1〜3月には、制御ICとFETが別個のディスクリート構成ながら40A対応品をリリースする予定だ。その後、これまでの15A対応品同様、制御IC、FETを1パッケージ化した40A品や、ディスクリート構成の80A品、120A品も投入する予定だ。大電流対応だけでなく、さまざまな製品展開も順次行っていく。
EETJ エンピリオンの研究開発への投資規模は、買収前と買収後では、どの程度増えましたか。
デイビッドソン氏 おおよそ2倍になった。なお、デザインウイン獲得案件数は、買収前に比べ10倍程度に増えている。
EETJ 昨今のアルテラ製FPGAのデザインイン案件のうち、一緒にエンピリオン電源ICを選択される割合はどれぐらいでしょうか。
デイビッドソン氏 おおよそ4割に達している。今後は、さらに伸びるだろう。
われわれは、FPGAと電源ICの組み合わせで、動作することを保証して提供する。これまでは、FPGAメーカーは、FPGAに対する電源供給は電源ICメーカーに依存し、自身は電源供給に関してよく知らないというような状況が続いてきた。より多くの責任を負うことになるが、顧客にとっては多くのメリットがあるだろう。
万が一、うまく動作しなかった場合も、これまでは、電源ICメーカー側、FPGAメーカー側、双方の責任のなすり付け合いになったが、これからはアルテラ1社で対応できる。
買収から半年程度だが、FPGAユーザーからは「これからは電源の心配をしなくても良くなった」との声を多く得ており、手応えがある。これからも、アルテラFPGA向けに最善の電源を提供していく。
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