モバイルデバイスの普及、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)の潮流、サービスのダイナミックな変化、リッチメディアコンテンツの増加、クラウドコンピューティング&ビッグデータの台頭などにより、ネットワークインフラへの要求と負荷は日に日に高まっている。オライリー氏はこのような背景を踏まえ、「今後は、インテリジェントなマルチコアプロセッサが求められる」と提唱する。
また、インテリジェントなマルチコアプロセッサがもたらす利便性についてオライリー氏は、「作業の柔軟性を向上」「アプリケーションのインテリジェンス向上」「セキュリティの強化」「QoSの向上」「電力消費の低減」などを挙げる。
このような背景から登場した今回の次世代マルチコアプロセッサは、3GHz超の動作周波数やスーパースケーラーによるアウト・オブ・オーダー実行機能などといった「最高性能」と、CPU・アクセラレータ・I/Oでのエンドツーエンドでの仮想化技術で「作業柔軟性を最大化」、そしてオープンなソフトウェア環境や標準化されたツール/API/ライブラリ群などの特徴を持つ「ARMとのコラボレーション」といった先進のアーキテクチャで、ニーズが高まるNFVアプリケーション向けソリューションに応えていくという。
ネットワーク用プロセッサ市場では、PowerPC、x86と、MIPSの3強時代が続いており、ARMはまだまだ“新参者”だ。同社も、現時点でのクラス最高性能となるNFV向けSoC「XLP900シリーズ」はMIPSアーキテクチャを採用している。
今回同社が、NFV向けの次世代マルチコアプロセッサにARMアーキテクチャを採用したことで「MIPSからARMへアーキテクチャをシフトしていくのでは」との見解も出ている(2013年10月22日の記事「BroadcomがARMベースの64ビットSoC投入へ、MIPSからシフト」を参照)。
この件についてオライリー氏は「MIPSを捨てていくというものではない。ネットワーク向けプロセッサのラインアップに、高性能なARMコアプロセッサを加えただけ」と語り、MIPSからARMへ全面的にシフトするわけではないことを強調する。
では、なぜ同社は今のタイミングでARMアーキテクチャを投入するのか。
「ARMが通信市場向けに適したコアを提供した始めたから。今まではARMのフォーカスが別の市場/分野に向いていた。通信向けソリューションのツールも十分ではなかった。(だが環境が整った今は)当社の中でARMアーキテクチャは非常に重要な位置付けになっている」(オライリー氏)。
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