Gartnerによると、2013年における半導体売上高は3150億米ドルと過去最高を記録した。中でもメモリメーカーが躍進し、特にDRAMの供給不足による価格上昇により、SK Hynixは売上高を前年比で大きく伸ばした。
PC売上高が前年比で10%近く減少し、拡大し続けてきたスマートフォン市場の成長にも鈍化の兆しが見えている中、2013年における世界半導体市場の売上高は前年比5%増となる過去最高の3150億米ドルに達した。
なお、米国の市場調査会社であるGartnerが2014年4月3日(米国時間)に発表した3150億米ドルという数値は、半導体工業会(SIA)が公表した数値より100億米ドル近くも高い。
GartnerのアナリストであるAndrew Norwood氏はリポートの中で、今回の結果は、半導体業界の堅調な成長を示すのではなく、同業界、特にメモリチップメーカーやサプライチェーンが抱える問題を明らかにしていると述べる。メモリチップ市場は前年比で23.5%成長したが、同氏によれば、その要因は需要の高まりではなく供給不足や価格上昇だという。
半導体メーカー上位25社の売上高は平均で6.9%増加したが、それ以外のメーカーの売上高成長率の平均はわずか0.9%だった。Norwood氏は、供給不足によるメモリ価格の上昇は、半導体メーカー各社の売上高に格差をもたらしたと分析する。とりわけDRAMの価格上昇の影響は大きかったという。
例えば、2013年9月4日に中国・江蘇省 無錫にあるSK Hynixの工場で火災が発生した。これにより同工場は一時的な閉鎖に追い込まれるが、その際、2Gバイト容量のDDR3 DRAMチップの価格は同年9月末に42%上昇した。世界第2位のメモリメーカーであるSK Hynixの2013年通年の売上高は前年比で40.8%増加し、同社は半導体メーカーの売上高ランキングで初めて上位5社に入っている。
一方、Intelの売上高はPC販売の鈍化により前年比で1%下落した。とはいえ、Intelは市場リーダーとしての座は維持しており、売上高とシェアは、2位のSamsung Electronicsのほぼ1.5倍に相当する。
米国の市場調査会社IC Insightsは2014年4月、1月に発表したMcClean Reportの内容を更新した。同社はその中で、「2014年に最も売れるICはタブレット端末およびスマートフォン向けマルチプロセッサで、その後にDRAMとNAND型フラッシュメモリが続く」との予測を示した。また、ローエンドのスマートフォンの人気が高まることにより、MediaTekなど比較的小規模なメーカーの業績が向上するという。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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