今回行った光チップの検証では、量子もつれ光源となる2つのスクイーズド光(波長860nm)を、2つの光パラメトリック発振器を用いて生成した。これを、光ファイバーアレイを使って光チップ内に入射させる。光チップ内部では、量子もつれ光生成用干渉計を使い、2つのスクイーズド光を干渉させることで、量子もつれ状態の2つの光ビームを生成させた。これらの光ビームを2つのホモダイン検出用干渉計で測定した。出力信号の差や和を測定することにより、試作した光チップ上で量子もつれが生成されていることを確認することができた。
量子もつれ状態の2つの光ビームを生成し、2つのホモダイン検出用干渉計で測定した。出力信号の差や和を測定することで量子もつれが生成されていることを確認した(c図は、ランダムノイズより低いレベルにあるのが量子もつれである) (クリックで拡大) 出典:東京大学今回の研究成果と今後の取り組みについて古澤氏は、「量子テレポーテーションのコア技術となる量子もつれを、光チップで生成できることは確認できた。これから完成度を高めていくためには、全体で50%程度の損失となっている結合ロスをなくすことである。このためには量子オペアンプである量子テレポーテーションの集積化はもとより、レーザー光源なども含めて1チップ化することが必須だ。これらのチップを多数個用いることで、量子コンピュータを実現することが可能となる。また、量子誤り訂正機能も重要な技術となる」と語った。
量子テレポーテーションを用いて、一般的な論理回路の「NANDゲート」に相当するユニバーサルゲートセットを作成することが可能である。
なお、今回の成果は、英国ブリストル大学の教授を務めるオブライエン氏や、サウサンプトン大学の講師を務めるポリティ氏との共同研究によるもので、文部科学省の先端融合領域イノベーション創出拠点形成プログラムなどの支援を受けて実施している。
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