「次世代のイノベーターのための鼓舞と準備」と題したNIWeek 2013の3日目の基調講演では、次世代のエンジニア育成をサポートするNI製品群が登場。10歳の小学生から高校生、大学生と、企業エンジニアの利用にとどまらないNI製品の幅の広さを見せた。
National Instruments(NI)のテクニカルカンファレンス/展示会「NIWeek 2013」(米国テキサス州オースチン、2013年8月5〜8日)3日目の基調講演では、「次世代のイノベーターのための鼓舞と準備」をテーマに、NIのエンジニアリング教育への取り組みと、関連するいくつかの製品群が紹介された。
はじめに紹介されたのが、今秋発売予定のLEGOのプログラム可能なロボット教材「LEGO MINDSTORM」の第三世代製品、「LEGO MINDSTORM EV3」(以下EV3)だ。EV3は4系統のセンサー入力と4系統のモーター出力を備え、ARM-9ベースのプロセッサ、64MB容量RAMなどを搭載し、付属のEV3ソフトウェアによってプログラミングやデータのロギングが可能だ。付属のソフトウェアは「LabVIEW」をベースとして、エンジニアリングを学ぶ学生・生徒向けに開発されたものだ(関連記事:「好奇心を刺激し、失敗を奨励する学び」――新型レゴ マインドストーム EV3ソフト開発者が語る)。
EV3実演のために呼ばれたのは、NI本社のあるオースチンの小学校から来たDavid君(10歳)。自らを「EV3のエキスパート」と呼ぶDavid君はEV3を使って組み立てた番犬ロボット“Znap”のプログラムを、EV3ソフトウェアでものの数分で書いて動かして見せた。「EV3ソフトウェアはプログラミングが早くできて、(前バージョンの)NXTよりも簡単だし最高だよ!」という。
EV3に続いて紹介されたのは、オースチンのWestlake High Schoolの生徒たちが製作した、フリスビーを目標に向かって正確に投げるロボットだ。彼らは「Team 2468」というチームを結成し、このロボットで欧米版“ロボコン”「FIRST Robotics Competition(FRC)」に参加、見事に賞を受賞した。
FRCのレギュレーションでは、NIが提供する制御コントローラ「NI roboRIO」を使い、決められた予算内でロボットを製作する。Team 2468のロボットは10mほど離れた空中にあるゴールに正確にフリスビーを投げ込んでいた。頭の上に立てたペットボトルにフリスビーを当てて落とすという技も披露した。基調講演では2015年のFRC向けに開発した新しいroboRIOも発表されたが、これは、「Xilinx Zynq SoC」(ARMのCortex-A9とXilinxのFPGA「Artix-7」を1パッケージにしたSoC)チップを搭載し、ロボットの制御に必要な各種インタフェースを備えた、より強力なものになっている。
エンジニアリングやサイエンスを学ぶ学生をターゲットに開発された製品「NI myRIO」も紹介された。myRIOは手のひらサイズの筐体に、Xilinx Zynq SoCや3軸加速度計を搭載、40ラインのデジタルI/O、34ピンヘッダやWi-Fiなどのインタフェースを備えている。この他、プロセッサを搭載せずにPCと接続して利用する入門用データ集録機器「NI myDAQ」もある。myRIOは日本国内でも販売予定(2013年8月下旬以降)としている。
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