事実上、LGは市場を独走している。しかし、2013年1月、世界で初めて55インチの有機ELテレビを披露したLGは、以後、サムスン電子や中国企業などのライバルたちが有機ELテレビを世に送りだしていく中、死活を賭けるほどの攻撃的な市場攻略は行ってこなかった。市場を揺るがし、覚醒させなければならないLGの立場としては、このことが大きな負担となっていた。
今回のULTRA OLED TVはそのような点から見ても大きな意味を持つ。既に市場の流れはフルHDから4Kに移行している。過去にフルHD対応有機ELテレビで一戦を交えてきたLGの立場としては、4K対応で市場を攻略していくことが相対的に有利だ。フルHDではない4Kを次世代パネルである有機ELパネルとして世に知らしめようというのだ。
時期 | 内容 | その他 |
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2011年12月 | 55インチ 3D対応有機ELテレビ公開 | |
2013年1月 | 55インチ 有機ELテレビ販売開始 | 世界初の大型商用モデル |
2013年1月 | 曲面有機ELテレビ公開 | 世界初 |
2013年4月 | 曲面有機ELテレビ販売開始 | 世界初 |
2013年9月 | 「GALLERY OLED TV」販売開始 | 平面有機ELテレビ「GALLERY」のみ販売 |
2013年9月 | 77インチ曲面4K対応有機テレビ公開 | |
2014年1月 | フレキシブル有機ELテレビ公開 | 世界初 |
2014年8月 | 65インチ曲面4K対応有機EL販売開始 | 世界初 |
LG電子の資料より作成 |
2014年秋、LGは有機ELテレビで勝負をかける。韓国国内において、8月26日からULTRA OLED TVの予約販売が始まった。9月からは、北米とヨーロッパでも同商品の販売を始める。さらに、米国では普及型有機ELテレビも公開した。普及型有機ELテレビ(型番=EC9300)の価格は、約35万円。従来モデルであるEA9800は、2013年4月の発売当初150万円で発売され、その後EA9700は約60万円で販売された。今回の普及型OLED TVの発売を見る限り、LGの有機ELテレビの短期戦略として55インチは普及型、65インチ/77インチ(2014年10〜12月に公開予定)は4K対応に焦点を置いているようだ。
LG電子やLGディスプレイなどLGグループでは、今後有機ELテレビ市場が大きく拡大していくと予想する。市場調査会社「ディスプレイサーチ」は、2014年のOLED TVの市場規模は10万台にとどまるが、2015年には100万台と1年で10倍近く市場規模が拡大することを見込んでいる。
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【翻訳/編集:EE Times Japan】
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