日本ナショナルインスツルメンツ(日本NI)は、「組込み総合技術展/Embedded Technology 2014」(2014年11月19〜21日)で、システム開発ソフトウェア「LabVIEW」とNIの開発プラットフォームを用いた組込みシステムの開発・試作事例などを紹介した。
日本ナショナルインスツルメンツ(日本NI)は、2014年11月19〜21日に横浜・パシフィコ横浜で開催されている展示会「組込み総合技術展/Embedded Technology 2014」(以下、ET 2014)で、システム開発ソフトウェア「LabVIEW」とNIの開発プラットフォームを用いた組込みシステムの開発・試作事例などを紹介した。また、小型のSOM(System on Module)「sbRIO-9651」も展示した。
ブースでは、システム開発ソフトウェア「LabVIEW」とNIの開発プラットフォームを用いて開発された、いくつかの事例を紹介した。その1つがAirbus(エアバス)での開発事例である。航空機の製造工程において、締め付けが必要な個所は約40万にも達し、締め付けに必要な工具は基本的なものだけでも1100種類以上になるという。
このためエアバスは、LabVIEWとNIの開発プラットフォームを用いて、ネジ締め作業用のスマートツールを開発/試作した。試作には開発プラットフォームとして「cRIO-9068」を用いていたが、仕様が確定すると作業員が手軽に持ち運べるようSOM(System on Module)「sbRIO-9651」でシステムを実現したという。sbRIO-9651は、ザイリンクス製の産業用グレード「Zinq-7020」を搭載しており、外形寸法は50.8×78.2mmと小さい。また、NI Linux リアルタイムOS、デバイスドライバ、検証済みボードサポートパッケージなどもセットにして提供される。
エアバスのスマートツールは、作業者が装着したスマートグラスで、締め付け作業するネジを画像確認する。そのデータから締め付けるトルクをsbRIO-9651で算出し、電動工具の締め付けトルクを自動で設定する仕組みだ。これによって、「作業者は、ネジの種類などによって異なる締め付けの度合いなどを気にすることなく、ネジ締めの作業のみに集中することができる。その上、作業結果は記録され、ネジが適切な場所に適切なトルクで固定されたかどうかを一括管理することができる」(説明員)という(関連記事:スバルのモーター用ECU、古野電気の気象レーダー――日本企業の開発事例が注目集める)。
組込みシステムの開発/試作に、LabVIEWとNI開発プラットフォームを用いるメリットはいくつかある。説明員によれば、その1つがWindows OSやリアルタイムOS用のソフトウェア開発はもとより、FPGAプログラミングもLabVIEWのみで対応できることだ。このため、複数の開発環境を用意する必要がない。もう1つ、開発着手後の仕様変更などにも柔軟に対応できる実装ハードウェアが用意されている点を挙げた。
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