バッファローメモリは、MRAM(磁気抵抗変化メモリ)をキャッシュメモリに使ったSSDを初めて製品化した。電源遮断に対する耐性が高いことや、起動スピードを高速化できることなどが特徴だ。
バッファローメモリは、MRAM(磁気抵抗変化メモリ)をキャッシュメモリとして使った産業分野向けSSDを開発し、特定顧客を対象にしたサンプル提供を開始した。「MRAMを搭載したSSDの製品化は業界初」(同社)という。4Gバイトと8Gバイトの品種があり、サンプル価格は4Gバイト品が8万円程度、8Gバイト品が10万円程度。2012年7月上旬に量産を始める予定である。
一般的なSSDには、キャッシュとして揮発性のメモリであるDRAMが使われている。これに比べて、高速アクセス特性と不揮発性を兼ね備えたMRAMをキャッシュメモリに使うことで、主に3つのメリットが得られるという。
まず1つ目は、電源遮断に対する耐性を高められること。SSDへの電源供給が不安定な場合、キャッシュメモリに保持したデータが消失してしまうことで、書き込み中のデータが消えたり、極端な場合はSSDの故障を引き起こすことがあるという。このため、産業用SSDでは電源遮断に備えて、一時的に電力を供給する蓄電素子として機能するコンデンサを搭載したり、データを保護する回路を新たに追加している。不揮発性のMRAMをキャッシュを使えば、このような対策をとらなくても、電源遮断時のデータ消失を避けられる。
2つ目は、起動スピードの高速化である。MRAM搭載のSSDでは、電源が供給されていないときにもキャッシュ領域にSSDの管理データを保持できる。このため、起動時のデータの読み込みといった作業が不要になり、SSDの起動時間を大幅に短縮できるという。3つ目は、低消費電力化である。データの読み出しや書き込みといったアクセスが無いときはキャッシュメモリへの電源供給を停止し、使用時の消費電力を大幅に抑えることができる。
同社は5月9〜11日の3日間、東京ビッグサイトで開催される「第15回 組込みシステム開発技術展(ESEC2012)」に出展し、同製品の展示やデモを実施する。
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