タブレット端末市場の競争がますます激化している。Appleは、2012年第3四半期におけるタブレットのシェアを、第2四半期に比べて15%落としている。Appleの減速は、AndroidタブレットやWindowsタブレットが市場シェアを拡大するチャンスとなりそうだ。
米国の市場調査会社であるIDC(International Data Corporation)は2012年11月5日、暫定的な集計データを発表し、2012年第3四半期におけるAppleのタブレット端末の売上高が大幅に減少したことを明らかにした。また、Appleの市場シェアは、2012年第2四半期には65.5%だったが、同年第3四半期には50.4%に縮小したという。
Appleは2012年10月に、新型タブレット「iPad Mini」を発表した。これを受け、2012年第4四半期のタブレット市場では、競争が激化すると予測される。Appleの減速は、Androidタブレットや、Microsoftの「Windows 8」を搭載するタブレットにとっては、市場シェアを拡大するチャンスになるだろう。
ちなみにAppleは、iPad miniと第4世代の「iPad」の販売台数が、発売から3日間で300万台に達したと発表している。だが、iPad miniのみの販売台数については明らかにしていない。
IDCのデータによると、Appleの勢いが鈍化する一方で、Samsung ElectronicsやAmazon、ASUS、Lenovoなどは、シェアを伸ばしているという。中でもSamsungは、幅広い種類のタブレットを取りそろえたことで、2012年第3四半期の出荷台数が前期比115%増となる510万台に達し、記録的な伸びをみせている。
また、LenovoとASUSも、前年に比べて堅調な成長を遂げているという。
2012年第3四半期は、Appleのタブレットの購入を検討していた消費者が、iPad Miniが発売されるのを待って買い控えをしたとみられる。それでも、同四半期におけるタブレット市場のデータを見ると、さまざまなメーカーが参入したことでタブレットの多様化が進み、競争が激化していることが読み取れる。
Amazonは2012年第3四半期末に、7インチおよび8.9インチの新型タブレット「Kindle Fire HD」を発表した(分解記事はこちら)。7インチモデルに関しては、2012年9月半ばに既に出荷を開始している。Amazonは、このKindle Fire HDの投入によって、2012年第2四半期に4.8%だった市場シェアを、同年第3四半期には9%に拡大している。
IDCによれば、ASUSが市場シェアを拡大したのは、Googleの新型タブレット「Nexus 7」の出荷が好調なためだ。またLenovoは、中国国内の出荷を堅調に伸ばしたことによって、市場シェアを拡大したとみられる。
IDCによると、2012年第3四半期におけるタブレットの世界出荷台数は、2780万台に達したという。さらに、同四半期におけるタブレット市場の成長率は、前年同期比で49.5%増、前期比で6.7%増であった。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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