ケイデンスのような企業は、新しい技術や製品を手に入れるため、新興企業を買収する役目を果たしてきた。ごく最近では、ケイデンスは、IP(Intellectual Property)コアのポートフォリオを拡大するため、TensilicaとCosmic Circuitsの買収に名乗りを上げた(関連記事)。
ケイデンスには、こうした企業を望みのままに買収できるだけの十分な現金資金がある。具体的には、同社は8億2700万米ドルの現金資金を持つほか、四半期ごとにさらなる現金が入ってくる。また、2億5000万米ドルの比較的低金利な融資枠を得ている。
一方、EDAツールベンダーが製品やサービスを提供する半導体設計企業は、金融面ではより厳しい現実に直面している。米国の市場調査会社であるSemico Researchは、28nmプロセスでチップを設計するには1億800万米ドルのコストがかかるが、14nmプロセスでは、それが2億1000万米ドルに膨れ上がると予測した。
Tan氏は、「そうした設計費用の増加が、モバイルプラットフォームとサーバープラットフォームの統合をさらに促す」と述べている。一方で同氏は、アナログ、車載、産業機器といった分野では、このように膨大なコストがかかる最先端の設計プロセスを適用することはないとみている。
このような傾向は、EDA分野の成長の妨げとなる可能性がある。Semicoによると、IPコアのビジネスは約19%の年間成長率で拡大しているという。
Tan氏は、「『EDAの市場は、わずか50億から60億米ドル程度だ』と思われてはいけない。われわれEDAの業界に携わる人間は、EDAからIPやプラットフォームサービスへと広がる価値を、明確に提案していくための訓練が必要だ」と強調した。
同氏は、EDA分野の“ToDoリスト”に、「もっと面白くなること」という項目を加えた。「もっと刺激があれば、大学生を、FacebookやGoogleではなく、EDA分野に呼び込めるようになる」(Tan氏)。
【翻訳:青山麻由子、滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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