Intelの現CEOであるPaul Otellini氏は、2013年5月に行われる株主総会で退任する予定である。Otellini氏の後継者は誰なのか。長年にわたってIntelをみてきたアナリストは、同社の元幹部である可能性が高いと話す。
Intelが次のCEO(最高経営責任者)を決定する期限が迫っている。現CEOのPaul Otellini氏が、2013年5月16日に行われる株主総会で退任する予定だからだ(関連記事:IntelのCEOが退任を発表、後継者は誰に?)。
これについてIntelは、「株主総会に合わせて新CEOを発表すべく、現在、幹部が次のCEOを選定している」とだけ述べている。Linley Groupの主席アナリストで、Intelの動向を長く追ってきたLinley Gwennap氏は、「円滑に引き継ぎできるよう、数カ月前には新CEOが決まると思っていた」と語る。
筆者は常々、Intelの新CEOには、Louis Gerstner氏のような人物が適任だろうと考えている。Gerstner氏は、米国のタバコメーカーだった旧RJR NabiscoからIBMのCEOに引き抜かれ、当時経営難に陥っていたIBMを見事に再生した人物だ。PC市場は、スマートフォンやタブレット端末の勢いに押され、予想以上のスピードで低迷している(関連記事:「Windows 8」が悪影響? 2013年Q1のPC出荷台数が大幅減)。スマートフォンやタブレット端末市場では、Intelはほとんどシェアを獲得できていない。
ただし、Gwennap氏は、こうしたIntelの状況を悲観的にみているわけではない。「Intelはユニークな社風を持っている。こうしたカルチャーがあるからか、Intelは非常にうまく問題を解決する力を持っている」(Gwennap氏)。
Intelは、ミーティングで、罵声が飛び交うほどの激しい議論を行うことで知られている。重大な決断については、反対派が徹底的に応戦するのだ。最も説得力のある者が勝ち、最後には議論の参加者全員でビールを飲みに行く。そこで「いい議論だった」と互いをねぎらうのだ。同社は、また、戦略の移行が素早いことでも有名だ。
Gwennap氏は、「もし、“部外者”がCEOの地位に就けば、Intelの成長は止まるだろう」と述べる。「新CEOがIntelのカルチャーを理解しなければ、幹部たちは同社を去ると思われる。優秀な指揮官を欠いた状態では、Intelの複雑な事業を引っ張り続けることはできない」(Gwennap氏)。
Gwennap氏も著者も、新CEOには、元Intelの幹部が就任するとみている。Pat Gelsinger氏やMichael Splinter氏は、最も有力な候補だ。2人とも、現在はIntelを離れているため、同社を客観的に見る目も持っている。Intelの針路を見極めるに十分な経験も備えている。
今回のCEO交代は、これまでのものとは少し異なるだろう。いずれにしても、今後1カ月以内に、Intelの新CEOの顔を拝めるはずだ。
【翻訳、編集:EE Times Japan】
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