「COMPUTEX TAIPEI 2013」では、主要SSDベンダー各社がM.2に対応したSSDを公開。中国のフラッシュストレージ専業ベンダー「BIWIN」は、M.2 Type 2242(22×42mm)の「G6200」、Type 2260(22×60mm)の「G6201」、Type 2280(22×80mm)の「G5301」の3種類を展示した。インタフェースにはSATAを採用し、最上位モデルのG5301はSATA 3.0に対応する。同社関係者は将来的にはPCI Express x4接続に対応した製品もラインアップに加える意向を示す。
一方、より小型かつ高速なSSDデバイス向けにはJEDECのMO-276に準拠したシングルチップSSDを採用した製品も増えている。台湾Apercer Technologyは、同規格に準拠したμSDC(Micro SATA Disk Chip)を開発し、より小型なフラッシュストレージを実現。SSDコントローラとNANDフラッシュをシングルチップに統合したSoCは、チップ内部でマルチチャネル接続することで、読み出し最大510Mバイト/秒、書き込み最大195Mバイト/秒のパフォーマンスを発揮している。
台湾Innodiskは、MO-276準拠のシングルチップSSD「nano SSD」を開発した。SATA 3.0プラットフォームでは、読み出し最大462Mバイト/秒、書き込み最大167Mバイト/秒を実現できると説明する。
この他、2.5インチSSDにおいては、停電や瞬断といった電力トラブルに対処できるよう、基板上にコンデンサを搭載することで、0.5秒〜数秒間は電力供給がなくても動作できるようにすることで、SSDのキャッシュ上のデータをNANDフラッシュに確実に書き込み、データを安全に保護できる機能を備えた製品が増えている。
BIWINは、独自の電源保護技術を採用し、基板上にタンタルコンデンサを搭載した「C8386」で、瞬断を繰り返すデモを披露。Apecer Technologyも、大容量のタンタルコンデンサやスーパーキャップを搭載した電源保護回路付きのSSDをラインアップに加えている。また、同社はSSDの動作状況をタブレットやスマホで確認することができ、SSDにエラーが生じたときは通知を受けれる「SSDWidget」も発表した。同ウィジェットは、SMARTによるSSDの動作状況を、リアルタイムでクラウドにアップロードすることで、タブレットやスマホでSSDの稼働状況を監視。SSDにエラーが生じたシステムを特定し、故障前にストレージを交換できるようにする。
屋外で運用されることも多いデジタルサイネージ市場をターゲットに、防水性や温度、湿度変化に強いSSDも増えている。SSDベンダーの中には、ICのパッケージングを工夫したり、特殊なコーティングを施したりすることで、防水性を備えたSSDを展開するベンダーも増えている。
台湾Akust Technologyは、ハーフスリムSSDやmSATA向けのケースを、デジタルサイネージ機器やアミューズメント機器向けのコンテンツ配布に利用している企業向けに、EMIシールドを施したプラスチックケースや、アルミ製ケースなど、幅広いラインアップを展開している。温度や湿度環境が厳しい条件でも安定した動作を実現できるようにする他、SSD交換作業時の静電気による故障を抑制することもできるという。このように、産業用機器や組み込み機器でSSDの採用が増えるにつれ、より過酷な条件でも動作するSSDを実現すべく、周辺パーツにも新しい動きが出始めている。
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