「今後は、オーディオ以外の多種多様な入出力が必要で、高速な応答速度を求めるアプリケーションへの展開を本格的に図っていく」という方針。具体的には、多数のモーター制御や多数のセンサーを必要とする産業機器/ロボットや「Ethernet AVB」対応車載情報機器をはじめとした幅広い用途への拡販を展開していく。主にモーターやセンサー用途向けとしてマルチチャンネルA/Dコンバータやオシレータで構成する「アナログタイル」と1パッケージ化した製品をラインアップ。さらにコアタイルに、低消費電力を特徴としたARM Cortex-M3(1コア)ベースのフラッシュマイコン回路を集積した「xCORE XAファミリ」も展開する。Cortex-M3マイコン混載品は、「ARMコアの設計資産も生かせる他、ARMコアだけでスタンバイする超低消費電力モード(最小消費電流100nA)を実現できる製品」(山本氏)となっている。
欧州では、多関節の工業用ロボットなどに採用され、既に応用範囲を広げているとする。「工業用ではないが、あるクモ型ロボットでは、1個のxCOREで26個のモーターを制御して、8本の足を本物と見間違うような滑らかな蜘蛛の動きを再現しているという事例もあり、xCOREが多数のモーター制御に向いていることを分かってもらえると思う」(山本氏)。
XMOSでは日本国内でも、より幅広い用途へのビジネス展開を行うため、2014年6月に日本法人を設立すると同時に、販売代理店にTEDを追加するなどの強化を実施した。
TEDでは、「xCOREは、ハイエンドマイコンとFPGAの中間に位置するような新しいデバイス。多関節ロボットをスムーズに動かせるなど、これまでできなかったことを実現できるデバイスでもあり、まずは新たな発想で新規に開発されるユーザーなどへの提案から始めつつ、マイコンやFPGAからの乗り換え提案も時間を掛けて行っていく方針。現状、顧客のxCOREへの反応は非常によく、期待できる状況だ」(TED執行役員兼パネトロン社長 長谷川雅巳氏)とする。
なお、xCOREの価格について山本氏は、「メモリが小さいことなどから、FPGA並みの能力を備えながら、マイコン並みの価格を維持できている」とし、5〜10米ドル程度となっている。ダイの製造はTSMCの60nmプロセスを使用し、「一般的なマイコンと同様の長期供給体制が整っている」としている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.