セキュリティ技術に強い欧州半導体企業15社が、eパスポート向け技術を共同開発するプロジェクトを立ち上げた。
欧州の半導体企業数社は、次世代のeパスポート向けハードウェアとソフトウェアの開発を目指し、共同研究プロジェクト「New Pass」を立ち上げた。
欧州は、エレクトロニクスをセキュリティに応用する技術に強く、こうした状況が、欧州の半導体企業に優位に作用している。例えば、ドイツのInfineon Technologiesは2012年8月、米国政府印刷局(GPO:Government Printing Office)との間で、米国のパスポートに埋め込むセキュリティチップに関する5年契約を締結した。
New Passに参加する15社の半導体企業には、Infineon Technologiesの他、スマートカードを手掛けるドイツのGiesecke & Devrient、オランダの半導体企業であるNXP Semiconductorsのドイツ支社、スイスのSTMicroelectronics、オランダのGemalto、フランスのID3 Technologiesなどが名を連ねている。
eパスポートの電子識別は、個人情報の変更や出入国手続きの簡略化に役立っている。New Passは、電子識別の適用範囲の拡大に向け、より安全なデータ構造や半導体アーキテクチャの構築を目指す。
このような技術が確立すれば、eパスポートの個人情報を更新したり、出入国の情報を追加するためのストレージを確保したりできるようになる。New Pass発足のもう1つの目的は、Androidや「Windows Phone」、「iOS」といったモバイル向けOSで動作する端末で使用できるデジタルIDドキュメントを作成することにある。
New Passは、欧州のナノエレクトロニクス研究開発プログラム「CATRENE」の一環として、2012年5月1日に始動した。研究期間は3年間で、3000万ユーロ(約4000万米ドル)の予算を見込む。New Passの参加企業は、同プロジェクトにかかる費用の半分を負担し、残りの半分は自国の政府から資金提供を受けるという。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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