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エンベデッド・ビジョン・アライアンスが日本での本格活動をスタートビジネスニュース 業界動向

組み込み機器でのコンピュータビジョン(画像処理認識)技術の普及を目指す業界団体「エンベデッド・ビジョン・アライアンス」が日本での活動を本格化させる。2013年6月3日には、東京都内で組み込み機器開発者らを集めた説明会を実施。今後、日本企業のアライアンスへの参加も募りながら、日本のエンジニアに向けたコンテンツを充実させる。

» 2013年06月04日 16時55分 公開
[竹本達哉,EE Times Japan]

 エンベデッド・ビジョン・アライアンスは、2011年に設立された業界団体。これまで北米を中心に、組み込み機器分野におけるコンピュータビジョンの普及に向けた活動を展開してきた。

 2013年6月3日、都内で会見した同アライアンスのDirector of Business Developmentを務めるJeremy Giddings氏は、「これまでのコンピュータビジョンの応用は、画像検査装置や商用のセキュリティカメラなどの用途に限られ、それら機器のメーカーや大学、研究機関だけが高度な専門知識を有していた。しかし、コンピュータビジョンが応用できる可能性はかなり広い。例えば、スマートフォンには、高度な画像センサーと高性能なプロセッサを搭載し、コンピュータビジョンシステムとしてのハードウェア要件は備えている。そこに、ソフトウェアを追加するだけでコンピュータビジョンシステムを作ることができるわけであり、以前に比べ、より多くの人がコンピュータビジョンにアプローチできるようになった。だが、こうした環境が整ったにもかかわらず、コンピュータビジョンを作るのは、難しい。なぜなら、コンピュータビジョンを作るためのノウハウが公開されておらず、技術者を育てる仕組みもない状況だからだ」と業界の問題点を挙げる。

エンベデッド・ビジョン・アライアンスの活動について語るDirector of Business Developmentを務めるJeremy Giddings氏

 そして、「コンピュータビジョンアライアンスは、コンピュータビジョンを作るための情報、コンピュータビジョン技術を習得するためのノウハウを提供していく活動を中心に展開している」とアライアンスの目的を語る。具体的な活動としては、同アライアンスのWebページ上で各種情報を公開する活動を中心に展開する。コンピュータビジョン開発に必要な開発ツール一式を提示するなど、開発を試みるエンジニアの指南役となっている。そのほか、半年に1度程度のペースでサミットと呼ぶセミナーイベントを開催してきた。

 現在の参加企業数は、半導体メーカーやIPベンダー、ツールベンダーなど33社。Giddings氏は、「直近6カ月間で10社増え、7月にも1社が新規参加を予定している。サミットなどを通じた参加企業間の交流も盛んで、1社ではできない開発を参加企業同士で行うといった事例も生まれつつあり、大手企業と連携を図りたいベンチャー企業や、北米など海外展開を検討している日本企業も多くのメリットがあるだろう」としている。

現在のエンベデッド・ビジョン・アライアンスの参加企業(左、クリックで拡大)と都内で開いたエンジニアを対象にしたアライアンスの説明会の様子

 日本企業の参加は現在のところ、東京エレクトロンデバイスとデジタルメディアプロフェッショナルの2社のみ。今後、日本企業の参加を積極的に募りながら、日本語コンテンツの拡充なども進め、日本の組み込み機器市場でのコンピュータビジョンの普及を目指すほか、「最近問い合わせの多い車載分野向けなど、用途ごとに最適化した開発キットなどの提案を増やしていく」としている。

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