イメージセンサーのコントラスト情報などを基に、レンズ位置を調整しピントを合わせるAF機能の制御方式には主に2つの種類がある。オープンループ方式とクローズドループ方式の2つだ。
クローズドループ方式は、レンズユニットの位置をホールセンサーを使って正確に検知し、レンズの位置情報も含めてフォーカスを合わせる。
一方のオープンループ方式は、レンズ位置を検知せずにイメージセンサーの情報のみでフォーカスを合わせるもので、クローズドループに比べ、フォーカスの精度が劣る。またレンズ位置検出を行わないため、バネ式のスプリングアクチュエータを用いることが多く、レンズが静止した場合でも、位置を維持するための電力が必要になり、消費電力が増大するという課題もある。その一方で、ホール素子やレンズ位置情報を処理するためのフィルタやメモリ(E2PROM)などが不要であり、システムコストを抑えられる利点もあり、「AF機能付きスマホの8〜9割程度は、低コストなオープンループ方式を採用している」(川崎氏)というのが現状だ。
ただ、オンセミでは、「オープンループ方式とクローズドループ方式では、性能の違いが体感できる程の差があり、今後、数年間でかなりの量のスマホがクローズドループ方式にシフトする」(川崎氏)とみて、スマホ向けクローズドループ方式対応AF制御ICを製品化。今回の新製品LC898214は、クローズドループ方式の欠点である高いコストを抑えるために、従来は外付けだったホール素子とE2PROMを取り込み1チップ化した。
「クローズドループ方式でコスト高を招く要因として大きいのが、E2PROM。AF制御では、1Kバイト程度の小容量で足りるが、そうした低容量E2PROMは販売されておらず、高価な大容量品を搭載せざるを得なかった。これに対し新製品は、制御ICのコストのみで実現できる」(川崎氏)とする。またホール素子、E2PROMの内蔵により、部品実装面積も従来比50%程度に抑えられるという。
オンセミでは、ジャイロセンサーと連動してレンズを制御する手振れ防止用レンズ制御(OIS)ICの機能と、AF制御機能を1チップ化した製品も投入し、機能集積型製品でクローズドループ方式AF需要を取り込んでいく構えだ。
バッテリー関連ICでも、システムコストの抑制をコンセプトにした製品の投入を積極的に行っている。2014年3月には、残量計IC(バッテリーモニターIC)の新製品として「LC709203F」を発表。外付けシャント抵抗による電流検出型残量計ICが主流の中で、LC709203Fは外付けシャント抵抗が不要な電圧検出型残量計ICだ。電圧検出型の場合、あらかじめ電圧値と残量の相関情報を把握しておく必要があり、電池交換などに弱いという課題があった。しかし、新製品は、相関情報を収録したルックアップテーブルを書き換えられる機能を搭載し、電池交換にも対応。検出精度も電流検出型と同等以上の2.8%を実現している。
「日本は、優れた技術を持ち世界市場をリードするカメラモジュールメーカーやバッテリーモジュールメーカーが多く存在し、カメラ、バッテリー用ICを研究開発する上でふさわしい場所だ」とし、今後も国内のカメラ/バッテリーモジュールメー
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