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IBMのEUV試験結果に疑問の声、インテルは「EUVなしで7nm実現を模索」プロセス技術 EUV(2/2 ページ)

» 2014年08月06日 11時20分 公開
[Rick MerrittEE Times]
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IBMの反論

 さらにMaire氏は、IBMがテスト結果を発表した後でASMLの株価が14%上昇していることからも、IBMが今回の発表を行った理由が分かると指摘する。同氏は、「IBMとASMLがいずれも、何らかの良いニュースを切望していたのは明らかだ」と述べる。

 IBMのCorliss氏はブログの中で、テスト結果への批判に対して以下のように応えている。

 EUV装置の実用化を阻んでいる主要な課題の1つは、光源の弱さとその信頼性だ。NXE3300は、高性能な上に堅牢性や操作性にも優れていることから、イメージング性能に関してはそれほど心配することがない。

 当社は今回、EUV光源を高めることにより、性能レベルと信頼性の向上を目指した。24時間の性能テストでは、これらの2つのパラメータの重要性を強調したいと考えた。決して637枚のウエハー処理を目標としていたわけではない。637枚という成果は、試験において処理性能と信頼性を高め、光源を正確に操作した結果、副産物として生じたにすぎない。

 ウエハーにレジストを塗布したとしても、IBMの再加工工程がいかに優れているかを実証できるというだけで意味がない。

 非常に高い光源性能を実現できたのは、予期せぬ成果だったといえる。

 ただし、今回のテストによって、既存の光源技術には短期的目標(1日当たりのウエハー露光量)を達成できる可能性があることを実証するデータを、業界で初めて提示することができた。今回の成果は、以前に報告していた性能をはるかに上回っていたため、半導体業界全体でその内容を共有して重要性を認識し、それぞれのEUV活動に適用すべきだと判断した。IBMと当社のアライアンスパートナー企業にとっては、EUV装置の性能が確固たるものになり、7nmプロセス技術の開発に向けて後押しを受けることになる。

 IBMの担当者は、別の電子メールでのやりとりの中で、今回のテスト内容に関する詳細を明らかにしている。

 24時間のEUV試験において適用したパラメータは、マスク1枚の1回露光で、22nmの高密度配線(水平/垂直)のイメージングを行うために設定した。また、20mJ/cm2の露光量と、既存の照明形状を採用している。イメージングレベルは複数のマスクに対しては適用しておらず、SMO(Single Machine Overlay)ソリューションも採用していない。

インテルのEUVへの見解

 EUVは、次世代半導体チップに不可欠な微細パターンを印刷するための装置として、最も有力視されている。しかし、非常に複雑な技術であるため、ここ10年以上の間、研究段階にとどまっている。IBMをはじめとする半導体メーカーの多くは、今後2年以内とされる10nmプロセスチップの生産が開始するまでに、EUVの実用化は間に合わないとみている。

 Intel(インテル)のフェローであるMark Bohr氏は、電子メールでの取材に対して以下のようにコメントした。

 Intelは既に、EUV装置を使わずに7nmプロセスを実現するための手法を模索しているところだ。10nmプロセス技術では、EUVを使わなくても、高い密度とトランジスタ当たりのコスト削減を実現することができる手法の開発にメドがついている。今後も引き続き、7nmプロセス技術の実現に向けて、EUV装置の開発に取り組むと同時に、EUV以外の選択肢も模索していきたい。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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