IBMは2014年7月、ASML製の最新のEUV(極端紫外線)リソグラフィシステムの試験初日に「予想以上の結果を得た」と発表した。スキャナー「NXE3300B」に44Wの光源を用いて、安定した速度(34ウエハー/時)を保って、24時間で637枚のウエハーを作り出したという。
IBMは2014年7月、ASML製の最新のEUV(極端紫外線)リソグラフィシステムの試験初日に「予想以上の結果を得た」と発表した。スキャナー「NXE3300B」に44Wの光源を用いて、安定した速度(34ウエハー/時)を保って、24時間で637枚のウエハーを作り出したという。ウエハーサイズは直径300mm。
EUVリソグラフィは次世代チップに必要な高品位印刷パターンの技術として最有力視されているが、その複雑さのために、10年以上も研究段階にとどまってきた。IBMの最新の試験結果でさえも、7nmノードの実現はいまだ期待できないという。7nmノードの生産開始は2020年以降となる見込みだ。
試験の初日、米国ニューヨーク州アルバニーにあるIBMの研究施設に設置されたNXE3300Bの稼働時間は77%に及んだ他、部分的なダイを含むウエハー全体で83イメージフィールド/ウエハーにわたって20mJ(ミリジュール)の照射量を実現した。IBMのEUV開発プロジェクトのマネージャであるDan Corliss氏は「途中で何度か中断しなければ、1日で800ウエハー以上のウエハーを生産できただろう」と述べた。
なお、以前のIBM製EUVシステムで1日に露光できるウエハーはわずか7ウエハーだった。
Corliss氏のチームは2カ月間、スキャナーの調整に取り組んできた。スキャナーは2013年11月に初めてコンポーネントの中に設置された。当初の光源は25Wだった。
相対的に弱い光源では大量生産に必要な最低限のスループット(100ウエハー/時)を実現できないため、EUVシステムの主要課題の1つだった。Corliss氏によると、IBMは今後約6カ月でASML製のスキャナーで80Wの光源を得ることを目指しているという。
Corliss氏は「これまで12年もの間この技術に取り組んできたわれわれにとって、今回の試験結果はうれしい驚きである。同時に、業界全体と共有すべき素晴らしい達成でもある。とはいえ、大量生産段階に入ったとはいえない。大量生産を実現するにはいまだ数多くの課題が残されている」と述べた。
IBMは現在、時折発生する光源が使えなくなる現象の原因を調査中である他、マスク欠陥などEUVが直面する障害や課題の解決にも取り組んでいる。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.