14nm SoCや新規メモリなどの研究成果を発表へ――日本の採択論文数は米国に次ぐ計27件:2015 VLSIシンポジウム概要(4/4 ページ)
会見では、VLSI Circuits シンポジウムにおける注目論文として11件を紹介した。例えば、高性能プロセッサ技術では、IBMの「共振型クロック分配方式ハイエンドプロセッサ」(講演番号はC23-5)や、オンチップ電圧レギュレータにより、Droop制御を可能とすることでアクティブ時および待機時の電力消費を従来比35%削減できるIntelの「モバイルデバイス向け高エネルギー効率プロセッサ」(講演番号はC23-1)がある。
高性能メモリシステムとしては、ビットセル面積を従来に比べて15.8%削減したルネサスエレクトロニクスの「16nm FinFETプロセスによる3値連想記憶メモリ(TCAM)」(講演番号はC19-5)、LP DDR4と比べ入出力電力効率を40%向上させることができるSamsung Electronicsの「高速DRAMインタフェース」(講演番号はC12-2)などが注目を集めそうだ。
この他、16Mピクセルグローバルシャッタモードと、2Mピクセル時に10000fps高速撮像モードに対応したオリンパスの「3次元積層型CMOSイメージセンサー」(講演番号はC4-5)や、アナログ/デジタルハイブリッド型ビームフォーミングに対応するパナソニックの「WiGig/IEEE 802.11ad向け60GHzワイヤレストランシーバ」(講演番号はC22-3)などを紹介した。
両シンポジウムでは、上記の講演以外にも、それぞれに特別フォーカスセッションや、イブニングパネルセッション、ショートコースなどが予定されている。
- 14nm FinFETへの移行は「難しい決断だった」――サムスン
Samsung Electronics(サムスン電子)の最新スマートフォン「Galaxy S6」には、14nm FinFETを適用したプロセッサが搭載されている。同社は、14nm FinFETの生産量において、Intelに次ぐ第2位のポジションを確保したい考えだ。Samsung Semiconductorの幹部は、14nmプロセスへの移行を決断するのは、たやすいことではなかったと振り返る。
- TSMC、16nmプロセスへの移行を加速――設備投資額は10億ドル削減
TSMCは、2015年の設備投資額を10億米ドル削減すると発表した。資本効率を上げて16nmプロセスへの移行を急ぐ。20nmチップの生産量を減らして、16nmチップの生産量を増加する計画だ。また、7nmのリスク生産は、2017年前半に予定されている。
- IGZOを超える「有機半導体」、分子設計からトランジスタまで日本発の新技術
シリコンでは実現できない新しい機能性有機材料を東京工業大学の半那純一教授、飯野裕明准教授のグループが開発した。大きく3つの成果があるという。低分子系有機トランジスタ材料で耐熱性と成膜性を実現したこと、多結晶膜で高い移動度を得たこと、2分子層構造を利用して高移動度が実現できたことだ。
- 半導体チップ上に“人工心臓”を作る――iPS細胞を利用
米国の大学が、iPS細胞(人工多能性幹細胞)を使って、半導体チップ上に人工の心臓を作ることに成功したという。他の人工臓器をチップ上に形成し、マイクロ流路で接続すれば、薬剤が各臓器に与える影響などを研究できる可能性がある。
- 量子センサーの感度を1桁向上させる理論を考案
NTTなどは2015年3月、ダイヤモンド中に閉じ込められた電子スピンに超電導磁束量子ビットを結合させることで、ダイヤモンド中の電子スピンの寿命が約10倍に伸びることを「世界で初めて示した」と発表した。開発した理論により量子センサーの感度を10倍程度高められるという。
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