ザイリンクスはこの他、高性能の有線通信アプリケーション向けに開発した28nm世代のハイエンドFPGA「Virtex-7 H580T」についても説明した。この品種については、出荷開始を2012年5月30日(米国時間)に発表済みだった。
Virtex-7 H580Tは、Virtex-7のうち、最大28Gビット/秒で動作する高速シリアルトランシーバ(SERDES:シリアライザ/デシリアライザ)を16チャネルと、13.1Gビット/秒のSERDESを72チャネル搭載した品種である。このデバイス単体で、入出力帯域幅は2.78T(テラ)ビット/秒に達する計算だ。[28Gビット/秒×16チャネル]+[13.1Gビット/秒×80チャネル]=1391Gビット/秒になり、入力出力の2方向分で2倍すると2782Gビット/秒になる。
FPGAのチップと28Gビット/秒のSERDESチップを個別に製造し、「スタックド シリコン インターコネクト(SSI)」と呼ぶ3次元実装技術を適用して単一のパッケージに収めた、マルチパッケージ品である。SSIは、樹脂材料を使うパッケージ基板の上に、Si(シリコン)材料を使った支持基板(インターポーザ)を載せ、その上に複数のベアチップを同一平面に並べて実装する構造を採る。ザイリンクスは既に、このSSIを使って複数のFPGAチップをまとめて単一のパッケージに封止し、ロジックセルの規模を拡張した「Virtex-7 2000T」を出荷済みだが、FPGAチップとSERDESチップというように異種の(ヘテロジニアスな)チップをまとめたのはこれが初めて。
競合のアルテラも、3次元実装技術を適用してFPGAとASICやメモリ、ASSP、DSP、マイクロプロセッサのベアチップを1つのパッケージに統合する取り組みを進めており、テスト用デバイスを開発済みだと発表している。これに対しザイリンクスは、「ヘテロジニアス構成のデバイスを製品として出荷したのは今回のVirtex-7 H580Tが世界初だ。SSIを適用したヘテロジニアス構成についても、Virtex-7のこのシリーズではFPGAとSERDESの組み合わせしか考えていないが、それ以外ではメモリチップの混載といったさまざまな応用を検討している」と述べている。
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