「Foxconn」のブランド名とともに、「iPad」などを製造していることでも知られる台湾の鴻海精密工業(ホンハイ)。“Apple製品を、より安く製造する”という重圧を受けている同社は、安い労働力を求めてインドネシアに目を向けている。
台湾の鴻海精密工業(ホンハイ)は、「Foxconn」のブランド名で知られる世界最大手のEMS(電子機器の受託製造サービス)企業である。同社は、Appleの「iPad」と「iPhone」をさらに安い費用で製造しなければならないという重圧を受け、中国ではなくインドネシアに注目するようになったようだ。
インドネシアの商業省大臣は2012年8月、鴻海精密工業がインドネシアに最大100億米ドルを投資することを明らかにした。これにより、鴻海精密工業は、アジアの中でも最も人件費が安いとされるインドネシアの労働力を利用できるようになる。同国の賃金水準は中国の60%とも言われている。
鴻海精密工業は、既にブラジルでiPhoneの製造を開始している。ブラジル政府は2011年、同社に対して巨額の減税措置を施した上、奨励金を交付した。
インドネシアへの投資は、台湾を拠点にする鴻海精密工業にとって、最初の東南アジア進出になる。
織物などの産業では、既に中国やベトナムからインドネシアに生産拠点をシフトする動きがある。
ロイター通信は、アジア開発銀行のデータを引用し、「インドネシアの平均月給は113米ドルで、タイの半分以下、中国の3分の1以下」と伝えた。
東南アジアでは、同域内で生産された製品の関税率を、2015年までにほぼゼロに引き下げるという取り組みを行っている。そのため、東南アジアは約6億人の消費者を抱える巨大な“免税地域”になると期待されている。インドネシアには、安い労働力以外にも投資を呼び込む要因があるようだ。
【翻訳:平塚弥生、編集:EE Times Japan】
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