リポートは、こうした傾向は避けられないとしている。その理由として、SMSを利用する支払いシステムにサイバー犯罪者が目を付けていることや、デスクトップPC/ノートPCではなくスマートフォンやタブレット端末を使ってコミュニケーションを行う消費者が増えていることが挙げられるという。
LTEに対応する端末は、マルウェアに感染する危険性がさらに高いという指摘もある。だが、Alcatel-Lucentは、「感染をLTE技術のせいにするのは見当違いの可能性がある」と述べた。それよりも、「大量のデータを扱い、Webブラウジングに多くの時間を費やすユーザーの行動」について、より詳しく調査すべきだと主張している。LTE対応端末のユーザーは、3G対応端末のユーザーよりも、平均で2倍以上のデータを消費していて、そのうち50%以上が映像データだという。
McNamee氏は、2013年にみられた懸念事項の1つとして、モバイルスパイウェアが、ウイルスに感染したスマートフォンやタブレットを“サイバースパイを行う機器”へと変えてしまうという現象を挙げた。
McNamee氏によれば、この現象の原理は、市場にまん延しているスパイ電話ソフトウェアと何ら変わりないという。「例えば、スパイ電話ソフトウェアを購入し、彼女の携帯電話機にインストールしたとする。そうすると、彼女の現在位置を追跡したり、連絡先のリストをダウンロードしたりできる他、メッセージの傍受や送信、会話の記録、写真撮影などが可能になる。もちろん、自分の子供の携帯電話機に対してそのようなソフトウェアを利用するならば、それは正当な行為と見なされる可能性もある。だが夫に対してそうした場合は違法行為となる可能性があり、仕事で付き合う相手の場合は完全に違法行為となる」(同氏)。
こうしたスパイウェアがスマートフォンに感染した場合、スマートフォンが、企業や政府のネットワークにサイバー攻撃を仕掛ける“理想的な道具”になってしまう可能性がある。
McNamee氏は、「Androidスマートフォンを“スパイ電話”に仕立てることは、『Angry Birds』のようなゲームにスパイ電話ソフトウェアを仕込むのと同じくらい簡単だ」と述べる。
この他、ボットネットやDDoS(Distributed Denial of Service)、ハクテビズム(社会的/政治的な主張のためにハッキング活動を行うこと)なども、心配の種だ。Alcatel-Lucentのリポートは、スマートフォンやタブレット端末のセキュリティに、あらためて警鐘を鳴らしている。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.