スマートフォンやタブレット端末の普及で、MEMSセンサー市場は堅調に成長している。2013年におけるMEMS売上高ランキングで首位に立ったのは、ボッシュだ。STマイクロエレクトロニクスが2位に続く。
米国の市場調査会社であるIHSによると、ボッシュは2013年のMEMSセンサー/アクチュエータの売上高ランキングにおいて、トップの座に立ったという。「iPad」などのデザインウィンを獲得したことが大きかったようだ。
2012年のMEMS売上高ランキングでは、ボッシュとSTマイクロエレクトロニクスの両社とも7億9400万米ドルでトップを獲得している。
ボッシュの2013年のMEMS売上高は、前年比26%増となる10億米ドルに達した。2013年のMEMS市場は、前年比5.8%増となる89億6000万米ドル規模だった。一方STマイクロエレクトロニクスは、2013年のMEMS売上高が2.1%減少し、ボッシュに差をつけられる結果となった。
2013年の上位20社にランクインしたMEMSメーカーの売上高は、合計で69億9000万米ドルに達した。これは、同市場全体の売上高89億6000万米ドルの78%に相当する。2012年のトップ20社による売上高シェアも、2013年と同様に78%だった。ただし2012年は、MEMS市場全体の売上高が84億7000万米ドルで、トップ20社の合計売上高が66億米ドルだった。
ボッシュは、車載向けMEMSを手掛けるメーカーとして広く知られている。同社のMEMS売上高全体に占める車載向けMEMSの割合は、74%に達するという。ただし、同社のこのような著しい成長は、子会社であるボッシュセンサーテックの貢献によるところが大きい。ボッシュセンサーテックは、スマートフォン向けを中心に加速度センサーやジャイロセンサーを提供し、事業規模を拡大してきた(関連記事:ボッシュがIoT時代に対応した小型/高性能の環境センサー)。
IHSによると、ボッシュセンサーテックは、中国のスマートフォン向けの加速度センサー市場において優位性を確保しているだけでなく、Appleの「iPhone 5s」「iPhone 5c」「iPad Air」にも加速度センサーを供給しているという。サムスン電子の携帯電話機やタブレット端末に搭載する圧力センサーのトップサプライヤでもあった。さらに、ソニーやサムスン電子、HTCなどに向けて、加速度センサーとジャイロセンサーを組み込んだ6軸慣性計測ユニット(IMU)の量産を開始している。
IHSのMEMSおよびセンサー部門でシニア主席アナリストを務めるJeremie Bouchaud氏は、「STマイクロエレクトロニクスの2013年の売上高が減少した主な要因は、同社がAppleのデザインウィン獲得をめぐってボッシュに敗北し、加速度センサーの売上高が減っただめだ」と述べている。それでもSTマイクロエレクトロニクスは、民生/モバイル機器向けMEMSの分野において22%の売上高シェアを獲得し、リーダーとしての位置付けを維持している。
今回IHSが発表したMEMS売上高ランキングには、ファウンドリ企業の売上高は含まれていない。例えば、2012年におけるSTマイクロエレクトロニクスのMEMS売上高は、約10億1400万米ドルだったが、このうちの2億2000万米ドルは、他のメーカーとの契約に基づいて製造したMEMSの売上高である。そのため、これを抜いた7億9400万米ドルという数字が表に記載されている。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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