TSMCの後を追う二番手に甘んじてきたUMCだが、FinFETの製造開始においてはTSMCを打ち負かすことができるかもしれない。
台湾のUMCはこれまで、世界最大のファウンドリ企業であるTSMCの後を追い、業界第2位の座に甘んじてきた。しかしUMCは今回、FinFET(立体構造トランジスタ)プロセス技術の実用化において、長年のライバルであるTSMCを初めて打ち負かすことになりそうだ。TSMCは10年以上も前に、FinFETの構想を初めて具現化した企業の1つである。
UMCは、IBMとライセンス契約を締結しており、早ければ2014年後半にも、20nm世代のFinFETプロセス技術による製造を開始できる見込みだという。TSMCも最近、FinFET技術の開始時期を発表しているが、UMCの方がそれより1年も早い。
UMCの広報担当者によると、同社は、SOI(Silicon on Insulator) FinFETではなく、バルクFinFETプロセス技術について、ライセンス契約を結んだという。そのため、20nmのバルクCMOSプロセスの適用に続き、迅速かつ容易にバルクFinFETプロセスを導入することができるとする。
UMCは2012年第2四半期の業績を報告するカンファレンスコールを開催した。だが、その席で同社のCEO(最高経営責任者)を務めるShih-Wei Sun氏は、UMCが2014年をめどに20nmプロセスFinFETを適用すると決断した時期については、明らかにしなかった。
またSun氏によると、UMCにとって初となるFinFETは、20nm世代のプレーナCMOS技術と同様に、20nmのバックエンドプロセスで作り込む予定だという。同氏は、FinFETを手掛けるメーカーのほとんどが同様のアプローチを採用しているものの、中にはそれを「16nm世代」や「14nm世代」と呼ぶメーカーもあると指摘した。UMCがこれを20nm世代と呼ぶのは、技術的というよりも「マーケティング的な定義」(同氏)だとしている。
なおTSMCは、同社の最近の発表によると、同社にとって初となるFinFETプロセスに16nm世代の技術を適用し、2015年後半にも量産を開始する予定だという。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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