IntelとMicrosoftは、スマートフォンとタブレット端末の市場ではほとんど成功を収めていない。IHS iSuppliによると、2011年の携帯端末用プロセッサ市場の売上高において、Intelのシェアはわずか6〜8%だ。また、Microsoftの「Windows Mobile」は、スマートフォン向けOS市場で2%にも満たないシェアしか獲得できなかった。スマートフォンとタブレット端末市場では、OSはAndroidやAppleの「iOS」が、プロセッサはQualcomm製をはじめとするARMプロセッサが圧倒的に優勢である。Wintelは、ほとんど締め出しを食っている状況なのだ。
IHS iSuppliは、2012年のスマートフォンの世界出荷台数を、ノートPCの3倍近い6億5500万台になると予測している。また、タブレット端末の出荷台数は、2016年までに、ノートPCの出荷台数予測である3億2200万台に匹敵する3億1100万台に達する見込みだという。
Intelは、超低消費電力を特長とする「Ultrabook」のコンセプトを前面に押し出し、自社のモバイル機器向けプロセッサ「Atom」をAndroidベースのタブレット端末メーカーに直接売り込むことで、現在のような市場動向に対処してきた。一方のMicrosoftは、ARMプロセッサに対応するOS「Windows 8」を発表しようとしている。
IHS iSuppliのStice氏は、「IntelとMicrosoftは、新たなコンピュータ市場で、“巻き返しを図る”というかつてない状況に置かれている。Wintelが他社を追うという図式はこれまでにはないものだが、(Wintelが市場をリードするという)伝統は、すっかりなくなってしまった」と述べる。
Stice氏は、「スマートフォンはタブレット端末に影響を与え、タブレット端末はPCに影響を与え、PCはタブレット端末に近いものになろうとしている。こうした状況は、IntelとMicrosoftにとって悪循環となるかもしれない。Wintelはゲームの支配権を失いつつある」と語った。
【翻訳:滝本麻貴、平塚弥生、編集:EE Times Japan】
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