ノキアの近距離通信技術から生まれたBluetoothは、携帯電話機に標準的に搭載されるようになったのはもちろん、モノのインターネット(IoT)機器でも採用が広がっている。
Bluetooth Smartは今や、携帯電話機以外の分野でも、モノのインターネット(IoT)向けの機器を設計開発する強力な武器となった。UBM TechInsightsはこれまで、「Teardown.com」において、1年間当たり約400種類の機器の分解調査を実施してきた。Bluetooth Smart対応機器は、かつてほとんど存在しなかったが、ここ3年間でモバイル機器市場において主流とも言えるまでに成長し、ウェアラブル端末やヘルスケア機器の分野では業界標準となっている。
こうしたことから、Teardown.comでは、これまで分解調査を行ってきた民生機器を対象として、Bluetooth Smartの普及率についてまとめている。
Bluetooth Low Energyは、ノキアが2006年に開発した近距離通信技術「Wibree」をベースとしている。Wibreeは2010年6月に、Bluetooth規格の標準化団体である「Bluetooth Special Interest Group(Bluetooth SIG)」によって、電池寿命の向上を目的とし、4.0規格として採用された。当時から携帯機器の消費電力の最適化は重要視されていて、Bluetoothは広く普及することになった。また2011年ごろから、Bluetooth Low Energyに対応する機器を総称して、「Bluetooth Smart」と呼ぶようになった。
Teardown.comは2011年1月以来、携帯電話機やタブレット端末、PC、ゲーム機、セットトップボックスなど、さまざまな種類のBluetooth対応機器の中から547機種を取り上げ、データを収集してきた。なお、Bluetooth ICは、Bluetooth 4.0規格に準拠するものとして分類されている。
Bluetooth Smartは急激に普及した。2011年初頭の段階では、分解を行った機器のうちBluetooth Smartが搭載されていた割合は、10%程度にすぎなかった。ところが、その12カ月後には56%に急増している。Bluetooth Smartの採用はその後も伸び続け、2013年には、携帯電話機やタブレット端末、ウェアラブル端末など、各種機器全体の85%以上がBluetooth Smartを搭載していた。こうした傾向から、2014年にはほぼ全ての携帯機器、とりわけウェアラブル機器でBluetooth Smartが採用されるのではないだろうか。
Bluetooth Smart対応の通信チップは、Qualcomm、Broadcom、MediaTekのシェアが高い。われわれが分解した機器のBluetooth Smartチップの90%は、この3社の製品だった。特にMediaTekは急速にシェアを伸ばしていて、中国の携帯機器に多く採用されるようになっている。さらに、Broadcomも積極的に中国市場へ攻勢をかけている。特に中国製のハイエンドスマートフォンに採用されるケースが多いようだ。
2013年12月には、Bluetoothの最新仕様「Bluetooth 4.1」の策定が完了したと発表されている(関連記事:Bluetooth 4.1の策定が完了)。使い勝手がより向上し、IoT機器にも採用しやすくなるとみられている。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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