GLOBALFOUNDRIESのCEOを務めるAjit Manocha氏は、半導体素子の国際学会「IEDM 2012」において、「ファブレス/ファウンドリの事業モデルは、さまざまな問題を抱えているものの、崩壊への道をたどることはあり得ない」と語った。「今こそ、新しい『ファウンドリ2.0』のモデルに移行すべきときだ」というのが同氏の主張だ。
GLOBALFOUNDRIESのCEO(最高経営責任者)を務めるAjit Manocha氏は2012年12月、米カリフォルニア州サンフランシスコで開催された半導体素子に関する国際学会「2012 IEEE International Electron Devices Meeting(IEDM 2012)」において、「ファブレスモデル/ファウンドリモデルは、確かにさまざまな問題を抱えている。しかし、崩壊への道をたどることはあり得ない」と語った。
ファブレスモデルについては、「崩壊の一途にある」との批判がある。これに対し、Manocha氏は「ファウンドリ分野は目覚ましい成長を示しており、半導体市場におけるほかの分野を上回る勢いを維持している」とはねつけた。その上で同氏は、「将来を心配する必要があるのは、むしろ垂直統合型の半導体メーカー(IDM:Integrated Device Manufacturer)の方だ。垂直統合型モデルは、すでに苦境に陥っている」との反論を続けた。
Manocha氏は「28nm世代以降の最先端技術を提供できるのは、当社、Intel、Samsung Electronics、TSMCの4社だけだ。そのため、ファウンドリ市場におけるビジネスチャンスをめぐって競争が激化し、28nm世代以降の最先端技術への移行に拍車がかかった。その結果、今後3年間の年平均成長率は、約37%に達すると見込まれている」と語る。同氏によれば、28nm世代以降の最先端技術の市場規模は275億米ドルに達するという。Manocha氏は、このような事情からGLOBALFOUNDRIESが成長を早めなければならなかったことを認めている。同社は、ほかの大手ファウンドリ企業が脱落していく中、次世代のプロセス技術に移行する態勢を整えているという。
またManocha氏は、「生物が進化を続けるのと同じように、エレクトロニクス業界も進化し続ける必要がある。今こそ、新しい『ファウンドリ2.0』のモデルに移行すべきときだ」とも語った。その上で、「過去の事例を見ても、閉鎖的なシステムにはいずれ限界が来る。そのため、半導体メーカーとの協業体制を強化して、“仮想IDMインタフェース”を提供することが重要になる。つまり、ファウンドリ企業のプロセス技術チームとファブレス企業の設計チームとの間のギャップを埋める努力をしなければならないということだ。今後、そのような協業体制を実用的なアプローチとして継続していくことにより、3次元積層技術や450mmウエハー、マルチパターニング、EUV(極端紫外線)リソグラフィ技術など、さまざまな技術的課題に対応することが可能になる」と述べている。
GLOBALFOUNDRIESが今後3年間に直面すると考えられる課題は、大きく4つに分けられる。パッケージング技術、450mmウエハーへの移行、EUVリソグラフィ技術の導入に伴うコストの3つと、SSR(Super Steep Retrograde)ウェルや完全空乏型SOI(FD-SOI:Fully Depeleted Silicon-on-Insulator)、FinFETなど、新たなデバイスアーキテクチャへの対応である。
Manocha氏は、「顧客のニーズに応えるためには、14nmプロセスを適用したFinFETの導入を含め、今後3年間は毎年、新世代プロセスへ移行する必要がある。簡単なことではないが、顧客のニーズに応えることが第一だ。顧客が『来年までに10nmプロセスを導入したい』と言えば、それに応えるというのがわれわれの役目である」と語った。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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