――SoC事業を、富士通、パナソニックの各システムLSI事業と統合するとの報道もあったが、SoC事業の方向性を教えてほしい。
鶴丸氏 報道は当社から発表したものではない。SoC事業の方向性だが、当社のSoC事業は子会社のルネサスモバイルが展開するモバイル用SoC、カーナビゲーションシステムなどの車載用SoC、プリンタやカメラ向けなど顧客要求に合わせた民生用SoC、産業機器用SoCといったものがある。
車載、情報機器、産業機器、一部の民生用SoCは、競争力があると考えている。しかし、モバイル機器向けは既に公表している通り(関連記事:「Qualcommと肩を並べる」はずだったルネサス モバイル、事業売却へ)、その方向性について議論中だ。売却などいろいろな方向性を検討している。そういった意味で、SoC事業の取捨選択を明確にしている。
――前オムロン会長の作田久男氏が代表取締役会長兼最高経営責任者に就任するが、オムロンと提携関係を締結する可能性はあるのか。
鶴丸氏 ない。ただ、将来については、中期計画を策定している段階であり、明確に答えられない。作田氏の会長就任については、作田氏の経験、見識を加えてもらい、ルネサスが行っている構造改革がより確実に加速するよう、経営への参画をお願いした。
――ルネサスは、マイコン、アナログIC、SoCのそれぞれで、良い技術を持っている。しかし、マイコン担当者はアナログを知らず、アナログの担当者はマイコンを知らず、互いに尊敬できていないように思える。マイコンとアナログががっちりと一緒にすることで良いSoCも生まれると思う。
鶴丸氏 貴重な意見であり、大変ありがたい。デバイス単品でのビジネスは難しくなっている。取捨選択した上で、製品を組み合わせたキット、ソリューションビジネスに変えようとしている。ただ、これまでの歴史があり、それを崩すまでには至っていない。互いに尊敬し合える風土を醸成していく。
――マイコンに搭載するフラッシュメモリは、(40nm世代プロセスに対応する)他社に先駆けた技術を開発したが、さらに技術を磨き、他社が追い付けない技術をぜひ構築してほしい。
大村隆司氏(=執行役員) 開発したフラッシュメモリ技術は、28nm、16nmプロセスまで、見通せるスケーラブルな技術だ。マイコン、SoCに使っていく。
――中期事業計画を策定しているというが、公表時期はいつなのか。
鶴丸氏 産業革新機構などの出資完了後、できるだけ早く公表できるよう、産業革新機構と協議を進めている。
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