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電子材料特集

エレクトロニクスデバイス技術進歩の根幹をなす電子材料。デバイスの性能向上だけでなく、コスト削減や環境対応などさまざまなメリットの実現を目指し、その改良や新材料の開発が進められている。本特集では、電子材料開発の最新情報をお届けする。

Top Story

縦型熱電モジュールで耐久性改善:

産業技術総合研究所(産総研)と島根大学は、熱流と垂直方向に発電する新しい熱電材料「ゴニオ極性材料」を開発した。室温より高い温度域で使用する場合でも、熱劣化が生じにくい熱電モジュールの開発が可能となる。

(2024年2月14日)
世界4拠点体制で需要増に対応:

富士フイルムは、富士フイルムマテリアルマニュファクチャリング九州エリア(FFMT九州、熊本・菊陽町)で、半導体製造プロセスに用いられる「CMPスラリー」の製造を始めたと発表した。同社は米国や韓国、台湾でCMPスリラーを製造しているが、国内拠点での生産は初めてとなる。

(2024年2月5日)

半導体材料

結晶化促進のメカニズムも解明:

広島大学と京都大学および、高輝度光科学研究センターらによる共同研究チームは、半導体ポリマーの結晶化により、塗布型有機薄膜太陽電池(OPV)の変換効率を、従来に比べ約2倍に高めた。有機半導体の結晶化を促進させるメカニズムも解明した。

(2023年2月28日)
光熱変換の高効率化に新たな指針:

近畿大学は、マンガン酸化物を用い3次元構造のナノ材料を合成することに成功した。合成した3次元構造のナノ材料が、光を熱に変換する触媒として高い効率で機能することも明らかにした。

(2023年1月26日)
有機半導体デバイスに有用な材料:

東京大学の研究グループは、環状アミド構造を有する新たなパイ電子系ベンゾ[de]イソキノリノ[1,8-gh]キノリンジアミド(BQQDA)骨格を開発し、有機電界効果トランジスタへの応用に成功した。

(2023年1月20日)
バイオマス素材を半導体素子に:

東北大学は、ケナフから作製したアモルファスケナフセルロースナノファイバー(AKCF)シート材に、半導体特性が発現することを確認した。安価で無害のバイオマス素材を用い半導体素子を実現できる可能性を示した。

(2023年1月13日)
市場シェア30%獲得に向け:

Infineon Technologiesは2023年1月12日、レゾナック(旧:昭和電工)とSiCパワー半導体に使用されるSiC材料について新たな複数年の供給/協力契約を締結し、2021年に締結した販売および共同開発契約を補完/拡大する、と発表した。

(2023年1月17日)
有機半導体デバイスに有用な材料:

東京大学の研究グループは、環状アミド構造を有する新たなパイ電子系ベンゾ[de]イソキノリノ[1,8-gh]キノリンジアミド(BQQDA)骨格を開発し、有機電界効果トランジスタへの応用に成功した。

(2023年1月20日)
省電力の次世代MRAMに応用:

東京大学と理化学研究所は、鉄とシリコンの化合物「FeSi」において、トポロジカル物性やスピントロニクス機能が、室温下で実現できることを東北大学との共同研究で明らかにした。次世代MRAMへの応用が期待される。

(2022年12月22日)
原子層エッチング技術を実用化:

名古屋大学は、日立製作所や日立ハイテクとの共同研究により、蒸気プラズマによる三元金属炭化物(TiAlC)のドライエッチングに成功した。

(2022年12月21日)
大気下でも高安定、優れた輸送性:

東京大学と大阪公立大学は2022年12月、産業技術総合研究所の協力を得て、大気中でも安定し、ホール/電子輸送性に優れた「アンバイポーラ型」の分子性半導体材料を開発したと発表した。

(2022年12月16日)
フレキシブルCMOS回路の実現へ:

奈良先端科学技術大学院大学は、一方向性フローティングフィルム・トランスファー法(UFTM)を用い、n型ポリマー半導体分子が一定方向に並んだ薄膜を作製することに成功した。液体表面に形成したこの薄膜を基板上に転写して、実用レベルの性能を持つnチャネル型FET(電界効果トランジスタ)を作製、その動作を確認した。

(2022年12月13日)
環境負荷の軽減にも貢献:

産業技術総合研究所(産総研)と筑波大学は、有機半導体デバイスの電極表面にカフェ酸の薄膜層を形成すれば、デバイスに流れる電流が最大で100倍も増加することを発見した。バイオマス由来の材料を用いることで、デバイス廃棄時の環境負荷を極めて小さくすることもできるという。

(2022年12月8日)
高圧力下中性子回折実験で確認:

物質・材料研究機構(NIMS)は、英国のラザフォード・アップルトン研究所やオックスフォード大学と共同で、酸化銅を加圧すると室温で磁性と強誘電性を併せ持つ「マルチフェロイクス材料」になることを実証した。

(2022年11月22日)

機能性材料

厚さ1.8nmで強誘電特性を確認:

名古屋大学は、60℃という低温の水溶液プロセスで、チタン酸バリウムナノシートの合成に成功した。単位格子3個分の厚みに相当する1.8nmまで薄くしても、強誘電特性は維持されていることを確認した。

(2023年2月24日)
次世代電池の開発に貢献:

東京理科大学は2023年2月15日、高い放電容量を持ち、蓄電池の正極材料として使用可能なマグネシウム酸化物の合成および結晶構造、電子状態の解明に成功したと発表した。

(2023年2月24日)
磁場を加えると体積が大きく膨張:

東京大学と名古屋大学の研究グループは、幅広い温度範囲において磁場を加えると体積が大きく膨張する新材料を発見した。有害な鉛を含まないため、新たなアクチュエーター材料としての応用が注目される。

(2023年1月31日)
照明の省エネ化に貢献:

京都大学工学部/大学院 工学研究科は2023年1月17日、助教の村井俊介氏らの研究グループが、高効率で指向性ある蛍光を放つ「ナノアンテナ蛍光体」の作製に成功したと発表した。

(2023年1月31日)
FLEX Japan 2022:

2022年12月14日から開幕した「SEMICON Japan 2022」(2022年12月14日〜16日、東京ビッグサイト)では、フレキシブルエレクトロニクスに関する展示「FLEX Japan 2022」も開催された。

(2022年12月28日)
機能性部品と柔軟な基板を直接接続:

太洋工業と近畿大学の共同研究グループは、「機能性セラミックス薄膜複合フレキシブル基板」を開発したと発表した。用途として、圧電素子やシート状の超音波素子などを想定している。

(2022年12月5日)
直径約300μmの結び目も可能に:

物質・材料研究機構(NIMS)と明興双葉は、直径が15μmという超極細の「MgB2超伝導線」を開発した。超伝導モーターに用いられる超伝導線において、これまで課題といわれてきた「耐曲げひずみ性」を改善し、「変動磁場による交流損失」を大幅に低減した。

(2022年12月1日)
外部電位のスイッチ一つで:

早稲田大学と韓国Hanyang大学は、スイッチ一つで二酸化炭素を選択的に吸着、脱離できることを理論的に解明した。開発した技術を応用すれば、CO2を効率よく回収し濃縮することができるという。

(2022年12月1日)
Zr-Ti合金ベースのC/UHTCMC:

東京理科大学や横浜国立大学、物質・材料研究機構(NIMS)らによる研究グループは、2000℃以上という極めて高い温度に耐えられる、ジルコニウム(Zr)−チタン(Ti)合金ベースの「炭素繊維強化超高温セラミックス複合材料(C/UHTCMC)」を開発した。

(2022年11月28日)
熱伝導率は紙の100倍以上:

東京大学らによる研究グループは、熱伝導率が極めて高いCNF(セルロースナノファイバー)糸を開発した。試作したCNF糸の熱伝導性は、紙などの木質バイオマスに比べ100倍以上になり、放熱性能が求められるフレキシブルプリント基板などへの応用が期待されている。

(2022年10月28日)
岐阜工場の生産能力を1.6倍に:

東レは、MLCC離型用のポリエステルフィルム「ルミラー」について、生産能力を増強すると発表した。岐阜工場(岐阜県神戸町)の生産設備を改造し、生産能力を現在の1.6倍に増やす。2025年に稼働予定。

(2022年10月12日)
アルミに比べ重さは270分の1に:

パナソニック インダストリーと名古屋大学、山形大学、秋田大学は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で「超軽量電磁波遮蔽(しゃへい)材料」の研究を始めた。開発する材料は、アルミニウムと同等の電磁波遮蔽性能を有しながら、270分の1という軽さである。2024年の実用化を目指す。

(2022年8月29日)

解説/分析

全地域で一桁台後半から二桁の成長:

SEMIは2022年3月16日(米国時間)、世界の半導体材料市場統計を発表した。これによると、2021年の販売額は643億米ドルで、2020年実績を15.9%上回り過去最高を更新した。

(2022年3月25日)
湯之上隆のナノフォーカス(45):

半導体製造装置と材料の分野において、日本は非常に高いシェアを持っている。これはなぜなのか。欧米メーカーのシェアが高い分野と比較し、分析してみると、興味深い結果が得られた。

(2021年12月14日)
材料の“奪い合い”が始まる?:

自動車業界は10年前まで、半導体の供給不足によって自動車製造が混乱状態に陥るという事態を、予測することができなかった。自動車メーカーは今から10年後、電気自動車(EV)向け電池やさまざまな重要部品に必要とされる材料が不足するという問題に直面することになるだろう。

(2021年3月17日)
中国は統制強化を発表:

レアアースメタルとその合金は、充電式電池や携帯電話機、磁石、蛍光灯など、私たちが日常的に使用するデバイスの多くに使用されている。しかし、希少資源や需要の多い資源と同様に、レアアースのサプライチェーンは国際的な政治問題に巻き込まれている。個人用携帯電話機が普及し、コンピュータ部品へのレアアースの使用が拡大したことで、レアアースの需要は過去20年で爆発的に増加した。

(2021年3月5日)
福田昭のデバイス通信(290) Intelが語るオンチップの多層配線技術(11):

今回は、多層配線の容量を下げる要素技術「エアギャップ」と、多層配線の抵抗を下げる要素技術「2次元(2D)材料」について解説する。

(2020年12月15日)

市場/設備投資

30億ユーロ以上の成長戦略の一環:

ドイツの化学大手Merckは2023年2月8日(ドイツ時間)、台湾・高雄市において、半導体材料の新工場の建設を開始した。2025年に稼働予定で、薄膜、パターニング用の特殊ガスおよび半導体材料を生産する。

(2023年2月13日)
後工程材料で「圧倒的世界1位」:

レゾナックは2023年1月17日、記者説明会を実施した。同社社長の高橋秀仁氏は、半導体/電子材料事業を中核として集中的な投資をすすめ、「世界トップクラスの機能性化学メーカーを目指す」と方針を示した。

(2023年1月19日)
2023年1月から「レゾナック」に:

昭和電工は2022年11月1日、記者説明会を開催し、半導体業界における同社の強みや戦略などを語った。昭和電工は2020年に旧・日立化成(現・昭和電工マテリアルズ)を買収して経営統合を進めてきた。両社は2023年1月1日、統合新会社「レゾナック(RESONAC)」となる。

(2022年11月10日)
半年後に量産開始へ:

住友ベークライトは2022年9月20日、子会社の九州住友ベークライト(福岡県直方市)に、先端半導体圧縮成形用封止樹脂に適した生産設備を新規導入したと発表した。同生産ラインからのサンプルワークは2022年秋から開始し、約半年後の量産開始を目標としている。

(2022年9月26日)
拡張工事が完了、2棟目も増築中:

オンセミは、米ニューハンプシャー州ハドソンにある工場で拡張工事を進めてきたSiC(炭化ケイ素)の生産施設が完成したと発表した。2022年末までには、SiC単結晶の生産能力を前年に比べ5倍に拡大する。既に2棟目も増築中だという。

(2022年8月18日)
半導体需要の急増に対応:

ドイツの医薬/化学品大手Merckは2022年4月26日、日本のエレクトロニクス事業部門に対して、2025年までに1億ユーロ(約135億円)以上の投資を行うと発表した。半導体材料の研究開発(R&D)、製造における主要拠点である静岡事業所の強化が中心だ。

(2022年4月27日)
2000万ドルの資金調達:

半導体業界向けダイヤモンド材料のメーカーである米新興企業Akhan Semiconductor(以下、Akhan)は、長期投資家を含む財務パートナーとの2000万米ドルの資金調達ラウンドを完了した。同社は、米国イリノイ州ガーニーにある「Diamond Mine 1」と呼ぶ施設を拡張し、商用製品の市場投入に向けて製造能力を強化する計画だという。

(2022年2月22日)
矢野経済研究所が世界市場を調査:

矢野経済研究所は、ディスプレイに用いられる偏光板と部材フィルムの世界市場(生産面積)を調査した。2022年の生産面積は6億6040万m2と予測した。2021年に比べて6.2%の増加になる。

(2022年2月4日)
半導体封止材・電子材料向け:

三菱ケミカルは、半導体封止材・電子材料向け特殊エポキシ樹脂の生産能力を増強するため、福岡事業所(福岡県北九州市)に新たな生産拠点を設ける。2023年4月より商業生産を始める予定。これによりエポキシ樹脂の生産能力は約3割増強される。

(2021年12月20日)
SEMIが材料市場統計を発表:

SEMIが発表した世界半導体材料販売額によると、2020年は553億米ドルになり、2018年に記録した最高額を更新した。

(2021年4月27日)

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